多分これが最後の告白




※シェリ→アス寄り?

あんまりカプっぽくないかも。





「私は、アスベルのことが好きよ」


仲間たちとのささやかなお茶会は、1時間前に終わった。

暫く他愛ない話を続けていたあとの、不意に生まれた不自然な沈黙。

わずか数秒ほどのソレのあとで、シェリアはそう言った。

恥ずかしそうに照れて頬を染めるわけでもなく、冗談を言うように意地悪な顔をするでもなく、ただ……。

そう、すべてを包み込む女神ような、すべてを愛する聖女のような、穏やかな表情でそう言った。

常識を子どもに説く母親のような口調にも取れた。


「……シェリア?」


いつもと違う雰囲気で、幼なじみを越えた感情を向けられた。

それは初めてのことで、アスベルは見たことのない彼女に戸惑っていた。


「何? 嘘じゃないわよ?」


ムッとしたような顔をしたが、声はいつもと変わらないシェリアのものだった。


「嘘、だとは思わないが……」

「何?」


真っ直ぐ向けられた視線から、咄嗟に逃げてしまった。

背けた顔は、戻しにくい。

アスベルが勝手に気まずさを感じていると、シェリアは小さく息を吐き出した。

ため息にも満たないソレ。

呆れたわけではないだろうが、あまり良いものでもない。


「アスベル」

「悪い。えと、どうしたんだ、いきなり」

「好きな人に好きって言ったら悪いかしら?」


今日のシェリアはまるで別人。

もしかして、酔っているのではないかと疑ったが、酒のニオイなどしない。

酒を飲む暇などなかったが、そう疑わずにはいられなかった。

それは、現実逃避。


「悪くはないが……でも、その……」

「はっきりしないわね」

「まさか、シェリアからこんな風に言われると思わなくて」

「……驚いただけね。良かった。嫌われているのかと思ったから」


フフッと笑ったシェリアの顔は、懐かしい幼い頃の笑顔。


「嫌うわけないだろ」

「そうよね」

「当たり前だ」

「そうね」


シェリアは強い目をしていた。

しっかりと前を見据え、歩き出そうとしている。

今の彼女に必要なのは、多分気持ちに応えることではない。

アスベルは重い息を吐き出した。

と同時にのし掛かる緊張感。

アスベルがシェリアのためにできること。


「ありがとう。ずっと側にいてくれて」

「私が一緒にいたかったからよ。側にいさせてくれて、ありがとう」

「なあ、シェリア」

「何?」

「悩んだ時や困った時、力になるから」

「……ありがとう。ね、握手してもらっていい?」


差し出された手を握る。

彼女の手は、こんなに強くて優しい。

そして、あたたかいものだったのだと改めて知った。





多分これが
最後の告白





(アンケートより)



2010/09/26
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