75.妬む

※未プレイなので、キャラ崩壊注意






ストローを吹けば、ぶくぶくと音を立てながらジュースが泡立つ。

行儀が悪いと知りながら、イリアは何度も繰り返していた。

つまらない、そういう感情とは少し違う。

では何だと問われたら答えられない。

イリアはジュースに息を吹き込むことをやめて、顔を上げた。

3つほど先のテーブルに、目立つ緑髪の男がいた。

トレードマークの帽子を今はかぶっていない。

楽しげな笑い声が、この雑音の中でも耳についた。

理由はわからないが、腹が立つ。

今、イリアは自分でも理由がわからないのにかなり苛立っていた。

油断すれば、武器を手にしてしまいそうなほどに。

苛立てば苛立つほど気分が悪い。

この原因は間違いなく、あの緑頭――スパーダにある。

イリアは噛みちぎる勢いでストローを噛んだ。

味わうわけではなかったのだが、不味いと文句を吐き捨てた。

このまま苛立ちを膨らませるのは良くない。

かと言って、対処法なんてわからない。

後頭部しか見えないスパーダの笑い声が耳障りだった。

グラスに直接口をつけ、中身を一気に飲み干す。

そして、この場から立ち去ろうとした時だった。


「よォ、イリア」


ニヤニヤと今の彼女の神経を逆撫でするような笑みを携えて、スパーダは近づいた。


「そのアホ面は何かしら? さっきまで一緒にいた可愛らしーいお嬢さん方は放っておいていいの?」


苛立ちを一生懸命に抑え、舞台上の台詞のようにそんなことを言った。

相変わらずスパーダはニヤニヤしている。


「何よ。あたしはあんたに用事なんてないんだけど」


何も言わないスパーダが気味悪く、イリアは早口に言葉を並べた。

それすらも面白いらしく、今度は声に出して笑った。


「すっごく不愉快なんだけど」

「だろうな」


腹を抱えて笑う。

そんな言葉が似合う気がした。


「いい加減にやめなさいよ」

「ああ、そうだな。なあ、イリア」


不意に肩を組まれ、耳元に唇を寄せられる。

そこで聞いた言葉にイリアが激怒するのは、数秒後の話。






ね た む



2011/10/29



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