02



ある日突然、チェスターが石化った。

突然すぎてよくわからなかったが、どうやら流行り病らしい。

フレンはチェスターを治すために、合成素材を求めて山へ向かった。

パナシーアボトルを合成出来れば良かったのだが、生憎『ルルリエの花びら』は不足していた。

もう一つの合成方法は、うっかり忘れていた。

なので、ストーンボトルを合成することにしたのだ。

ストーンボトルの合成に必要な『魔導樹脂』は、この村の裏にあるデリス・カーラーン山に大量発生して皆困って……たくさんあったので、フレンはすぐさま向かった。

そう険しくはない山だが、何分獣道。

予想していた時間より少し遅くなってしまった。

頂上付近には先客がいた。

赤い長い髪を靡かせた男だった。

明らかにシャンプーのCMを意識したような……。

そこまで観察しなくていい。


「……はぁ」


直感で気づいた。

関わってはいけないと。

フレンが来た道を戻ろうとしたその時。


「……おい」


声をかけられた。

気づかないフリでもしようかとも思ったが、ここには彼とフレンしかいない。

ため息を殺して、振り返った。


「何ですか? 僕はたまたま通りかかっただけです。つまり、人違いですよね」

「リヒターくん、参っ上!!」


変なポーズをピシリと決め、満足そうに笑っている。

間違いなく危険人物だ。

関わってはいけない。

フレンは曖昧に笑い、その場を離れようとした。


「待て」


一体、彼は何をしたいのかが分からない。

無視すればいいのだが、何だかその選択肢は選べない。

『オトナノジジョウ』という預言のせいだろうか。


「何ですか」

「もしかして、流行り病の石化を治したいのか?」

「そうですけど……。何故わかったんですか?」

「ストーンボトルでは治せない」

「無視かよ」

「つまり、パナシーアボトルでなければならないのだ。しかも、イベント用貴重品仕立ての!」


いちいちポーズをつけながら、教えてくれた。

ポーズがウザ過ぎて、まともな説明が頭に入らない。

1ポーズにつき、1イライラが募る。

ポイントカードがあれば、即埋まってしまいそうだった。


「俺にも色々事情があるが、一緒に行くか」

「行きませんよ」

「勇気は夢を叶える魔法だからな」


キラリと先程とは別格のウザ……素晴らしくカッコイイポーズを決めた。







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