01



穏やかなこの村に住む二人の青年は、ある日村長のクラトス・アウリオンに呼び出された。

村長というには若すぎる外見だが、かれこれ四千年近く続けているらしい。


「意外と頑張り屋さんなんだね」

「突っ込むトコは、異常に長生きなトコだろ!」


二人は村長宅へ向かった。

それは、呼び出しを受けて、三週間が経った頃のことだった……。


「おまえ達、遅すぎる!!」


当然のように怒鳴る村長クラトス。

だが、しっかり人形を抱き締めて――という状況を見れば、ふざけているようにしか見えない。

それを突っ込めば、ウザすぎるほどの長時間、息子の自慢話を聞かされるため二人は何も言わなかった。


「えと、僕たちが呼ばれた理由は何ですか?」


本作の主人公であるフレン・シーフォは、彼の機嫌を損ねないように尋ねた。


「おまえ達には、この村の自警団に入ってもらう。拒否権はない。ただ素直に『はい』と言うのだ!」

「嫌だ」

「ちょっ……、そんなはっきり言うと、村長が凹むだろ? 僕だって、そう言いたいけどさ……」


幼馴染みのチェスター・バークライトの発言にやや狼狽え、自分が同意していることに気づいていない。

チェスターはいつものことなので突っ込まなかった。


「拒否権はないと言ったはずだ。私の言葉を理解すら出来ぬとは、最近の若者は……」

「何言ってやがんだ。てめぇの時代とは違うごっ」

「チェスター、村長を苛めたら怒られるよ?」


誰にとは言わなかったが、チェスターはわかっただろう。

というか、意外とフレンは暴力的だった。


「わかってくれたか。素早く簡潔に、そこへ愛らしさも込めて『はい』と言うのだ」

「お断りします。ウザい大人は嫌われますよ? あ、貴方は他人の評価など気にしない方でしたっけ?」


ニコリと、まるでおとぎ話に登場する王子様のような微笑みで、フレンはクラトスにケンカを売った。


「……ごめんなさい」

「何故、謝るんですか? 自警団ですね。わかりました」


フレンは一礼し、チェスターを引っ張って出ていった。

最近の若者は怖いな、とクラトスは一人で暫くへこんでいた。






***






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -