「じゃ〜ん!!」
真新しい服に身を包み、ノーマはクルリと一回転した。
シンプルな、動きやすさを重視した服。
その中に流行りのオシャレな要素を取り込んだ服。
ふわりと長めのマントが揺れた。
いつもの彼女とは少し違う新しい服。
「……何の用だ」
「ちょっと、ロッちん。それは酷くない?」
「誰のことかわからないあだ名は酷くないのか?」
ロストの言葉など聞いていない。
ノーマはもう一度クルリと回った。
そして同じように感想を求めるが、ロストは完全に無視した。
「ロッちんてば、ヒドッ!!」
「まずは、呼び方を改めろ。話はそれからだ」
「えー。だって、ロッちんの名前長いし」
ロスファイアビュート・ナインベル。
それがロストのフルネームだ。
彼の知り合いは基本、ロストと呼ぶ。
ノーマはその呼び方が気に入らないのか。
はたまた仲良くなった印か、わかりにくい好意か。
更に呼び方を変化させていた。
「感想は?」
「俺はよくわからないが、いつものお前とは少し雰囲気が違うな」
「良いか悪いかをはっきり言えば、どっち?」
「良いんじゃないか? 多分似合ってるぞ」
ノーマは盛大なため息をついた。
彼がこういう人間なのはわかっていた。
どこぞの兄ばかくらい、鈍い。
そして、発言がイマイチどこかずれる。
「ノーマ?」
今もよくわからないという顔を彼女に向ける。
「このままだと、あのコに嫌われるよ?」
「うっ……」
あのコというコトバですぐに彼女を浮かべる辺りは、良いと思うけれど。
「実はね、ロッちん」
「何だ?」
「ちょこっと相談したいことがあるんだよねぇ〜」
ノーマがニヤリと笑えば、ロストは素早く距離を取った。
逃げようとするのが、残念ながら遅い。
「甘いね、ロッちん。で、仕事の話だけど」
「誰も引き受けるとは言っていない。別の誰かを誘え!!」
「か弱くて、こんなに可愛い女の子が頼んでるのに?」
わざとらしく瞳を潤ませる。
甘えたような顔を作っても、残念ながらロストには効果がない。
「ノーマは、か弱くないだろ。1人でも十分戦えるしな」
「ブレス系ナメるな。うがーっ」
「……はいはい。で、俺にどうしろと?」
一応困っている(らしい)ノーマを放っておけないのは、彼が騎士だからか。
「ちょっとした宝探しだよ」
「宝探し……ね」
「その宝を守るように、凶暴な魔物の群れがウロウロしてるって噂なんだよね」
ここまで言えば、ロストも気づいたようだ。
本当に面倒なことに巻き込まれたとはっきり書いた顔で、ため息をついた。
それが何を意味しているのか知っているノーマは、満足げに話の続きを始めた。
「じゃ、しゅっぱ〜つ!」
「今からか!?」
「当然。ほら、行くよ」
引きずるようにロストの手を掴み、意気揚々と歩き出した。
とれじゃーはんたー
ノーマ・ビアッティ(TOL)
と
りゅうのきし
(紅翼の七騎士団 二の騎士)
ロスファイアビュート・ナインベル(SNG)
10/10/01〜10/10/14