グミと包帯と傷薬と……。
買い物に寄った雑貨屋で二人は出会った。
「久しぶりだな。少年」
「あら、面白い冗談ね。こんなに可愛い美少女を前に……」
「アリスちゃんの方が可愛い。それに、お前は……」
残念ながらデクスでは、ピクリと震えたミストに気づかない。
次々と地雷を踏んでいることに、二人をよく知らない周囲の人間の方が気づいていた。
「ちょっと黙ってくれるかしら?」
「そうだな。オレも買い物の続きがあったし」
「そういう意味じゃないわよ……って、人の話を聞け!」
買わなければならないものを適当に選んだデクスは、会計の途中でミストを振り返る。
「いくらオレのことが好きだからって、店内では静かにしないと困るぜ」
カッコつけているようだが、公害とも呼べる悪臭とおかしな動きがマイナス点を確実に伸ばしている。
こんな趣味の悪い香水をつけている男を、好きになれるはずがないとミストは大げさにため息をついた。
そんな様子を気にすることもなく、デクスは買い物袋を持ち店を出た。
「人の話は最後まで聞きなさいよ!」
ミストはウツボカヅラランチャーをデクスの背に向けた。
「いきなりそんなことはしない方がいいぞ」
振り向くことはせずに一言。
余裕を見せられ、ミストの苛立ちは一気に上り詰める。
「サヨナラ」
「あー、少年」
ミストは引き金から手を離さない。
けれど、引くこともなかった。
「……何?」
「これやるから、ちょっとは落ち着け」
デクスはミストの前に飴を出す。
1000ガルド以上の買い物をしたため、もらったおまけ。
「……いらない」
「遠慮することはないぞ。ピンクとか好きなんだろ?」
デクスは無理矢理その飴玉を押しつけた。
包み紙がクシャリと潰れる。
「じゃあな、少年」
「そこは訂正しろっ!!」
ミストは憎すぎる青空へ向けて、ウツボカヅラランチャーを発射した。
う゛ぁんがーどこうさくはんりーだー
デクス(TOS-r)
と
ぞうかし
ミスト(仕立屋)
10/12/08〜10/12/31