※Gフライング





雨続きだったから、久しぶりの青空。

どこかひんやりとした新鮮な空気。

茜は空を見ながら、一人笑みを浮かべた。


「何か楽しいことがあったのか?」

「アスベルくん」


アスベルは茜の隣に立ち、彼女が見ていた方へと視線を向ける。

深い、吸い込まれそうな、青。


「綺麗な青だよね」

「だから、嬉しそうだったのか」

「……うん。気持ちよくて、落ち着く」


まるで風も空を吸い込んだような、みずみずしい青に感じる。

アスベルも同じように感じているだろうか。


「本当に、この青は気持ちいいな」


まるで心の声が届いたように、そのタイミングで返ってきた。

ちょっとだけ驚いて、茜は小さな声で笑った。


「どうした?」

「何でもないよ」


口元にやっていた手を前で組んだ。


「そういえば、何かあったんじゃないの?」


何もないのに、こんな所に来たりしないだろう。

彼は今かなり大変だと聞いている。

たとえ気分転換だとしても、多忙なアスベルが……。

茜の心中を察したのか、フッと瞳に優しげな光を灯す。

綺麗な笑みだと思った。


「少し頼みたいことがあるんだ」

「……私に?」


残念ながら、彼の力になれるような能力は持っていない。

それは、彼自身わかっているはずだ。


「でも、私なんか力になれるかな?」

「アカネの力を貸してほしい」

「……わかった。出来る限り、協力するね」

「助かる」


くだけた笑顔。

見ている方が安心出来るような笑い方。

最近は、気を張っている彼ばかりを見ていたから、本当に安心出来た。

ちゃんと笑えていると。


「早速、来てくれるか?」

「うん」


もう一度青い空を見上げて、歩き出した。





い青い眩しい世界。






E N D



2009/10/20
移動 2011/01/20



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