催花雨


 

平原を歩くのに苦労はなかった。ヴェラが先頭を歩くと草木のほうが勝手に倒れて、枯れて、獣道になるのだ。
体力が回復すると、すぐにカリナは出立の準備をした。それも早かった。
ヴェラも。出発前にヴェラはよく似た容姿の二人と今生の別れといわんばかりに熱烈に抱き合っているのが目に入った。やっぱり、見目の愛らしさはある。ふと、ニマニマした視線を感じたと思ったらカリナがこちらを見て喉を鳴らしていた。
黙々と歩く。カリナに初めて会った時に彼女が乗っていた生き物も一緒だった。この度は手綱を引かれて荷物持ち、最後尾。
「少し休憩するか?」
カリナが提案する。平らな道とはいえ、ずいぶん歩いた。
「腹減ってるだろう、特にヴェラは」
肯定の声が聞こえてくる。何度も。ご飯を急かす雛鳥か。そんなこと考えてたら横をその小さな影が駆けて行った。カリナに飛びついておる。
「よしよしご苦労様ですよーヴェラ」
二人はその場でくるくる、抱き合ったまま回転するとその円の形に拓けた。ああ、合理的なものでもあったのね。
「あー目が回った。クルス、すまんがシュクリの背負ってるもんの中から適当なやつでも敷いてくれ」
ヴェラを地面に下ろした後、カリナは額を抱えて地面と一人にらめっこしていた。
「わかった、ほんとにてきとーでいいのね」
「ああ」

 

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