正座させられている慶次に夢吉をもふりながら笑った。
ああもうほんとに、賑やかになったもんだ。
「…もう、寂しくないよ、刑部」
「Master?」
覗き込んでくる政宗に、何事かとこっちを見てくるみんなに、大好きな親友に伝えたいのは、一つだった。
「ありがとう」
「名前、」
「こんな私といてくれて、ありがとう、みんな」
静まり返っていた我が家に訪れた新たな同居人。
それが例えパソコンから出てくるようなありえない存在だとしても、触ったら暖かいんだ。
ここでちゃんと、生きているから。
「俺様たちはずっとそばにいる」
「棄てようなんざ思わせねえからよ」
「そりゃ、俺たちに出来ることは限られるかもしれないけどさ、」
するりと取られた手の甲に落ちる口付け。
それはまるで、忠誠を誓うかのような光景だった。
「ますたー殿の笑顔を、必ずやお守り致します」
「つーことだ。You see?」
嬉しそうに笑うその後ろでは小十郎さんも元就も小さく笑みを浮かべていて。
ただただ心が暖かく感じていた。
「ま、本来は歌が好きなマスターのために俺様たちが来たんだけどね、でもまだ――」
「ハッ、如何にも!ではさっそく我等の役目を果たさねば…!!」
「Wait!!Stop!!待て真田ァ!!」
いきなり慌て出したみんなにきょとんと目を瞬く。
すぅ、と息を吸い込んだ幸村は止まることなく、
「たぁけだぁぁぅおとこぉぶぅぅしぃぃいいいい!!」
歌い出した。それも激しく音を外しながら。
「ああもうまだ歌は全然ダメだって言ってるでしょ旦那あああ!!」
音痴な歌と悲痛な声が響く部屋で、苦笑することしかできなかった。
本当に、我が家は今日から賑やかです。
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