『w』という文字はしばしば『笑い』を表現する際に用いられる。
実用例をあげよう。
『ちょwwwwホモゲーとかwwwwマジ勘弁wwwww』
『転ww生wwしwwかwwもww奴ww隷ww自分wwマジww哀れww』
こんな感じだ。または『wwwwwwwww』でも可。しかしこれはありとあらゆる笑いをたった一度の文字の羅列だけで表現し尽くすというある種の一撃必殺なので多様は禁止されている。

どうも。ニートだ。名前はまだない。たまに廃人と呼ばれる。切ない。
二十二日前に20+32の誕生日を迎えた。この数式は未知数があるため解法できないので解放しないように。足し算記号は絶対に足し算記号として使用してはいけない。俺のことをおっさんとか言う奴は小指で潰すので気をつけてくれ。

「リル、さっさと薪を運べ。」
そういえば最近(といっても二十年目を迎えた程度の最近だが。)俺はリルと呼ばれる。
何故そう呼ばれるのかはわからない。俺は目つきの悪い駄目系の親父に言われるがまま薪を運びまくった。これは本当に最近(十五年前だった気がする)気がついた事だが言われる事を言われた以上に頑張れば叩かれたり燃やされたり折られたり殺されかけたりはしない。

「リル、不貞は働いておらぬだろうな。」

まあ、こんな事を言われても首をただひたすらがくがく上下に振っていれば何とかなる。少なくとも殺されることはない。
目の前の目が潰れるかと思うほど麗しいお方はえーと、尊名をえーと、なんか…ベートベンとバッハの間的な…そんな感じの偉そうな人だ。ちなみにすごく偉いらしい。
押し倒されるベッド、吹き抜けの天井、ガラス張りの屋上から見える空。そこに二つ連なったお月様に、俺はそっと瞬きをした。

タイトルは忘れた。俺がまだ三十路を謳歌していた頃に、一世を風靡したあるゲームがあった。
異世界へと降り立った主人公が苦難を乗り越えながらも崩壊寸前だった世界を現代人ならではの発想で立て直し、そしてちょくちょく色恋も交えて行く―――いや、正確に言うならちょくちょく世直ししつつ色恋を全力で頑張る―――そんなストーリーだった。ような気がする。
背景が青の煌びやかなパッケージ、右下の隅に書かれたR18のマーク、裏面に踊る肌色肌色肌色たまに赤。時間が過ぎるとだいたい黒くなっていく赤。肌色肌色。こんな感じのシステム説明。表紙に描かれた幾人もの大小さまざまな美丈夫―――俗に言うホモゲー。BLゲーム。
そもそもBLとはなにか?BoysLoveまたはボーイズラブ。ラブ。ラブ。ボーイズがラブラブあはあんな読んで字のごとくこれこそ『wwwwwww』愛は世界を救う。愛されなくなった瞬間バッドエンド・悪い終わり・BadEnd首が飛んで血がばしゃあってなって俺脂肪。誤字。死亡。大丈夫、まだ俺生きてる!

「ああ、今すぐにでもそなたを買い取ってやりたいが―――忌々しい現王め。あ奴さえおらねばこのように人目を忍んで逢引きせずとも良いものを…。」
愛は世界を救うのです。
俺は目の前の男ああ、思い出した。ラビス、ラビスの絹の肌襦袢を軽く掴み、視線をこちらに向けさせ口を開いた。
「だいすきです、恐いお顔をなさらないでください」
だから皆、皆を愛してください。
誰もが誰もを憎まなければ、誰の血も流されなくて済むのだから。


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