「今日の放課後空いてる?」



私の最愛の彼氏、不二周助はそう言った。



「空いてるよ。」

「そっか。じゃあ僕の家に遊びに来てほしいな。」

「え、」



 * * *



と、いうようなことがあって私は今周助の家に来ている。



「夕飯も食べていってよ」と言われたのでお言葉に甘えてお母さんには夕飯は不二の家で食べると連絡をしておいた。
周助はお母さん受けがいいからもちろん一発OKだった。





「あら、あなたがなまえちゃん?」

「はっ、はい!初めまして!(わ、綺麗な人……!)」

「ふふ、初めまして、周助の姉の由美子です。あなたのことは周助からよく聞いてるわ。さ、上がってちょうだい。」



そう言ってにっこりと上品に笑って由美子さんは私をリビングまで案内してくれた。まじ美人。
後ろから私たちに続く周助に「前話したことあると思うけど、弟の裕太は今日はルドルフの寮にいるからいないんだ」と言われた。いつか裕太くんにも会ってみたいな。




「あなたがなまえちゃんね?いらっしゃい。」

「あ、こんばんは」

「待っててね、今ご飯並べるわ」



そう言って周助のお母さんは料理を並べてくれた。周助ってお母さん似なんだな……



「はい、今日はケイジャン料理にしたの。」

「わ、おいしそう……」

「で、こっちが周助の分。」

「…………え」



まぁある程度予想はしてたけど。
私の隣、周助の席に置かれたケイジャン料理はどれも真っ赤で私たちのものより何倍も辛そうだった。


「僕これが凄く好きなんだ。」


嬉しそうに周助が笑う。
お前まじ味覚大丈夫か。




「さ、召し上がれ。」

「あ、はい。いただきます!」



早速ひとくち食べてみた。
辛い!でも美味しい。




「それ辛さ足りなくない?」

「みんながあんたと同じ味覚なわけないでしょ」


呆れたように由美子さんが言う。
ちょっと残念そうに「美味しいんだけど……」と呟く周助に少し苦笑いした。




「なまえは辛いのは嫌い?」

「よく来るねその質問。私にはこれぐらいの辛さが丁度いいかな。」

「………」



そう言うと周助は私から料理に視線を移し、黙りこくった。








「……周助?」

「…………なまえ、」

「え、……………っん?!」







次の瞬間、私の口に柔らかい感触があった。
それと同時に、














「………辛っっっ!!!」




やばい。超辛い。
普通にキスしただけで涙目になるぐらい辛い。
なにこれ周助の味覚規格外すぎる。







「やっぱり美味しいものは好きな子と共有したいからね。」




そう言って周助は最高に甘い笑顔を私に向けるんだ。




激辛ファーストキス

(きっと一生忘れられない)
(彼のいちばん好きな味)



「周助ったら大胆ねー」

「ふふ、二人とも仲良しなのね。」

(そういえば由美子さんとお母さんの前だった!!)




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