「そういえばもうすぐクリスマスだね」




部活も終わって、私は部室で後片付けをしていた。


みんな帰ったけど私の彼氏、赤也だけはこの時季はもう外も暗くて危ないから家まで送る、とひとり残ってくれている。
赤也の家と私の家は反対方向なのに赤也は嫌な顔ひとつせず私の仕事が終わるのを待っていてくれるなんてさすが赤也。心までイケメン。





「そっスね。あと5日ぐらいでしたっけ?」

「うわあっという間じゃん。」

「いやまだ5日って感じっス。早くサンタさん来て欲しいし。」

「え、」






今この子なんて言った?






「? どうしたんすかなまえ先輩?」

「あ、いや……プレゼントは何を頼んだの?」

「今年は新しいゲームを頼みました!」





赤也は眩しい笑顔でそう言った。


どうやらこの子は本気でサンタさんを信じているらしい。





「先輩は何か頼んだんすか?」




可 愛 す ぎ る




サンタさんを信じてるとかそんな可愛い中学二年生が果たして日本に何人存在するであろうか。







「私はなんにもお願いしてないよ。」

「えー そうなんすか?」

「うん、でもまぁクリスマスはベタだけど赤也のお姉さんに頼んで赤也の部屋に入れてもらって25日の朝までに赤也の布団に潜り込むつもり。」

「え、」





今度は赤也がポカンとする番だった。


そんな表情も大好き。
















「…先輩、それまじっすか?」

「うん。」

「…………あーもう、ほんとなまえ先輩可愛い。」




大それた策略ではないけれど、
(それはささやかで甘い)
(彼女なりのサプライズ)








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