学校へ持って行った袋にいっぱいの飴。

だいたいそれはひとりじゃ食べきれずにみんなに分け与えることになるものだ。





「あ、なまえそれ一個ちょーだい」

「あたしもー」

「あ、うん」



かくいう私もそのひとりなわけで。

さっそく今朝近所のコンビニで発売したばかり飴を配っているところだ。



色んな人がちょうだい、と言って一個一個飴を取っていく。
親しい友人なら無言で。
まぁ別に構わないし食べきれないから助かるといえば助かる。




「貰うぜぃ」



だから私はその言葉を拒否することはない。
うん、ないんだけど。

涼しい顔して袋の中の飴をたくさん掴み取るのはいかがでしょうか。
これは文句を言う場面ですよね。



「おま、もうちょっと遠慮しろよ」

「いーじゃん別に。みょうじが太らないように協力してやってんだろぃ?」

「人のことはいいから自分の心配したら?」

「言ったなてめコラ」



たくさん取った飴のひとつを口に放り込む赤い髪のイケメン、丸井ブン太はそう言った。



「つーかこれ新商品のやつじゃん。さっすがみょうじ。俺これが食いたかったんだよな」

「なら地面に頭をこすりつけて感謝してくれても構わないよ」

「幸村くんみてーなこと言うなよ」

「うんつい昨日幸村に言われた言葉だし」

「容赦ねーな。で、お前これ何味食ったんだ?」

「いや私はまだ食べてない」

「は?」

「ぜろ個」

「え、なんで?」

「袋を開けた瞬間にね……集られた」

「ああ……」



納得、と言わんばかりに遠い目をする丸井。




「……みょうじ、こっち向いて」



しばらく黙りこくっていた丸井がそう言った。



「なに……っ!」






丸井の顔を見た瞬間唇には柔らかい感触があって、キスされたんだと気づいたのは悪戯が成功したって感じの笑顔を浮かべる丸井に「びっくりした?」って聞かれてからだった。





いやいやいやそりゃびっくりするよ。つかお前私これファーストキスなんですけど。ていうか口ん中甘いと思ったら飴入ってた。ああ丸井が食べてたやつ?ベタなバカップルみたいなことしないでよばか!




キャンディとキスと甘党な彼
(ファーストキスはレモン味、なんて有名な話だけど)
(甘すぎて味わかんないから!)











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -