入学式


さて、これはもう仕方がない。と妙に冷静になった私はトーストを貪る。自作のカフェオレ飲んだらちょっと落ち着きました。

んで思いきって制服を着てみる。白いからご飯のときブレザー脱がないと怖いなぁ…。
……っていうか卒業してもうしばらくなるけど大丈夫?老けてない?合法コスプレ?肌質とか変わってないからそのままなのか戻ったのかわかんないけど大丈夫かなこれ。まっつん老けてるし大丈夫かな。

入学式だけだから軽いバッグを持つ。スマフォミュージックプレイヤーを持っていざ出陣!!とマフラーを巻いてローファーを履き気付く。

学校ってどこにあるの?

……しまったああああ!!!

「学校どこかわかんないのにどうやって行くんだよ……もうやだ帰りたい…あっここ家だった…」
一人芝居をしてたらスマフォが震えた。これはメルマガかな。………マップ使えばいいじゃん!!!

急いでスマフォのマップアプリを開き、GPSをONにして"青葉城西高校"と打ち込み検索する。
よっし出てきた!
「……ってすぐそこじゃん!?ってかここ、大学があったところじゃ……」

今は大学が青城になってるのか…まぁ行きやすいに越したことはないな。初日だし歩いて行ってみるか。


なんてことはない、学校意外はとくにかわりなくいつもの道であった。もともと大学があるような場所だから栄えまくってるわけでもない。でもこれ今宮城になってるってことだよな……方言出ちゃったときどう対処すればいいんだよ……。
音楽を聴きながらてくてく歩いてると、同じ制服の人がそれなりに歩いてる道に出た。これに着いていけば着くんだな。よし。メッセージアプリに母親からの心配の通知が来ていたから、着きそうだと送り、ふと気づいた。
「……あ、スマフォのストラップ減ってんじゃん」
HQのストラップをつけていたのにもとからついてなかったかのようにキャラクターの部分だけなくなっていた。ストラップ本体とバレーボールのマスコットだけ残っている、シンプルなスマフォになっていた。
……つまり、今ここは間違いなくキャラクターもいる世界だということか。



入学式は普通に終了した。眠かった。というか半分寝てた。
しかしやばいなキャラクターとエンカウントしてないよ。もうこれちょっと見るだけの程度なんじゃね?そういや悪運強かったわ。
ちくしょーと思いながら教室へ向かう。先生来るまで暇だしツイッターでも見るかと開くと、隣から視線。
誰だよ老けてるかもしれないけど見るんじゃねーよ。
「………」


そこには立派ならっきょヘッドがいらっしゃいました。もとい金田一である。金田一はこちらを、というかこちらの手元を見ていた。手元?あぁ、そういえば、
「なーに?人のスマフォジロジロ見て」
「へっ?……あっ!!いやその!!」
声を掛けてみると金田一は慌てたように目を瞬かせた。
「バレーボールついてたから、バレー好きなのかなって思って……」
やっぱりか。結構リアルなバレーボールつけてる女子とか滅多にいないもんな。元の世界なら結構居たけど。

「好きだよ、やるのは体育くらいだったから全然だけど。見るの好き。き、えーっと……君は……」
「?……あっ!俺金田一勇太郎っていうんだ」
「そっか、金田一ね。私は清河瑠璃。金田一はバレーやってるの?大きいもんね?」

あぶない普通に名前呼びそうになった。初対面なのに知ってたら気持ち悪いもんな……。
「おう!ここの学校も、中学一緒だった先輩たちがいるし強いんだよ!」
「そうなんだ。いいねぇ楽しそう」
「清河はどこか部活入らないのか?」
「部活、かぁ…」

ふとよみがえった、中学時代の記憶。這い回る手の感触。
「……まだ考え中かな!せっかくだし充実できるところに入りたいね!」
「そっか。部活紹介とかもあるだろうし、楽しみだな」
「だね〜」

しばらく金田一と話してたら先生が来たから先生の挨拶話を軽く聞く。そして恒例みたいな自己紹介タイムだ。面白くふざける者、恥ずかしそうに話す者、ハキハキ真面目に話す者。今のところは金田一という友達も出来たし大丈夫そうだな。
「清河瑠璃です。出身中学は他県なので気になった人だけ聞きに来てやってください。よろしくお願いします」
こんなもんでいっか。と席に座りHRが終わるのを待つ。明日からよろしく、とまとめられた後に放課となった。

「清河」
「ん?どした勇くん」
「なんだその呼び方……これからバレー部見に行くんだけどお前も来ないか?見るの好きなんだろ?」
「なんとなく呼びやすいかなって思って。バレー部とか私みたいなの見に行っていいの?」

勇くんってよくない?呼びやすいじゃん?
ってか金田一すごいエンカウントしてくるな…かわいいからいいけど。
「及川さん……すげーモテる先輩のファンがよく見に行ってるらしいし大丈夫だろ。今から友達もくるからちょっと待っててくれ」
「友達とな」
「あっ来た、国見!」

ゆるい仕草で教室に入ってきたのはセンター分けの美形な国見ちゃんでした。わぁ、実物かわいい!!モデルかよ!!かわいい!!

「……金田一、誰?」
「さっき友達になったんだ」
「清河瑠璃です。よろしく国見くん」
「国見英です、よろしく。……金田一に女子の友達とか……」
「あれっ勇くん女友達いなかったの?」

肩を震わせて笑う国見ちゃんに慌てる勇くん。かわいいなこいつら。
「ブッハ!勇くんって!」
「うっせー笑うな国見!!呼びやすいからって呼ばれてんだよ!!」
「嫌ならやめるよ?ごめんね?」
「えっあっ嫌じゃねーから!」

勇くんあわててばっかりだね、もうなんか可哀想だね。かわいいけど。らっきょかわいいね。

「じゃあ俺も友達記念でなんか呼んでくれんの?」
「おん?」
国見ちゃんそんなぐいぐい来る子だったのか。お姉さんびっくりだわ。国見ちゃん、は嫌かなぁ…。

「じゃああきちゃんね」
「……」
「国見があきちゃんって!アッハッハッハ!!」

いいじゃんあきちゃんかわいいじゃん!ちょっと似合ってるよあきちゃん!
「瑠璃ってなんかあれだな、ちょっと変わってるな」
「えっ……名前……」
「駄目だった?」
「いや嬉しいけど。変わってるかなぁ?なんかおかしい?」

名前呼びしてくれるくらいには気を許してくれてるのかと嬉しいが、正直浮いてるのがふつうだったから変わってると言われるのはちょっとビクビクしてしまう。

「いや、面白いなって」
「なんかあんまり女子っぽすぎないっていうか落ち着いてるっていうか。だから金田一も友達になれたんだろうし」
「……否定はできない」
「とりあえず褒められてると受け取っていいのかなそれは?」

まぁこうやって仲良くしてくれるなら大丈夫か。嬉しいなぁ。こうやってゆるゆる話せるのって学生ならではだし。

「国見、時間そろそろだし部活見に行くか」
「及川さんにあんま絡まれなければいいけどなぁ」
「岩泉さんに頼むしかないだろ…」
「だな、じゃー瑠璃も行こうか」

あ、まじでついていっていいんだ。やったわ。




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