プロローグ


男性に関してはトラウマがいくつかあった。

幼い頃から周りの子達の遊びに楽しさを理解できなかった私は、妙に子どもらしさというものが欠落していた。周りの子達と仲良くできなくて、一人で遊んでる冷めた子どもだった。小学校の高学年になればその浮き具合からか少しずつイタズラもされるようになった。

中学に上がってからはそれは増していき、初めて入った部活でも馴染めなかった私は、同じ部に所属していた兄の元へ行っていたのだ。
しかしそこをモテる男性先輩に気に入られ、同性の子達の反感を買い悪化していった。そしてある日、先輩に襲われそうになった。
大事に至らなかったが、それはトラウマとなったのだった。いじめも悪化していき、教室に行けなくなった。

さらに、その数ヵ月後、家では兄からも襲われそうになり始めた。毎晩毎晩寝れない夜を過ごした。ほとんど眠れず翌朝学校へ行き保健室で過ごす。荒れ果てた中学生活であった。

しかし高校は地元から片道一時間以上かかる学校を選んだだけあり、友達がたくさん出来た。いい奴等ばかりで、初めて友達と遊ぶことに共感でき、好きなことを学べて、本当に楽しかったのだ。初めて、ちゃんと人間らしい感情を得た気がしたのだ。


そんな怒涛の学生生活を過ごした私は、卒業してからやっとのことで家を出て、一人暮らしを始めたのだ。大学のすぐ近くで、学生向けに作られた部屋は家賃が安いワンルームだが、お金がないフリーターとしては仕方ないのである。

「はぁ……いい加減寝なきゃな…」

明日の仕事支度を終えて、布団に入る。仕事は特別嫌ではないが、まったく楽しくもない。そもそも、小さい頃から周りに馴染めなかった人間なのだ。どっちかといえば嫌なことが多い。いつもいつも思ってしまうのだ、
「高校生に戻りたい」と。





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