親バカとシスコン



早く学校に着いた私達は先に準備をする。といってもいつも以上に早く着いた為、もう準備も終わり軽くストレッチしながら話しているのだけど。

「オッハヨ〜!みんな早いね!」
「はよー、ほんとはえぇな」
「及川さん、岩泉さんおはようございます!」
「おはようございます。今日は二人が朝ごはん食べにうちに寄ったんですけど時間が思ったより余っちゃって……」

成り行きを簡単に説明すると二人は目を丸くする。こういうとこさすが阿吽の呼吸ですな。

「えぇ!?朝から清河ちゃんの家に!?二人ともそんなことして大丈夫なの!?」
「保護者が娘の家に行ってなにが悪いんですか」
「本当の保護者さんたちがいるでしょ!?」
「あ、私一人暮らしなので」
「もっと駄目だよ!!」
「及川うるせぇ」

ぎゃーぎゃー騒ぐ及川さんをはじめさんが殴ると、及川さんはギャッと言って少し落ち着いた。朝から元気で羨ましいです。

「国見も金田一もそんな奴じゃねぇってわかんだろ。……っていうか、清河一人暮らしだったのか」
「はい、話してませんでしたっけ?」
「聞いてねぇよ。お前部活の日、絶対一人で帰るんじゃねぇぞ」
「すぐそこなんで大丈夫ですよ?」
「駄目だっての。すぐそこなら余裕で送ってやれるから、一人で帰ることになりそうなら俺を呼べよ」

基本的に勇くんとあきちゃんと帰ってるからそんな心配いらないんだけどなぁ……って、え?はじめさんを呼べと?

「は!はじめさんにそんなご負担かけれません!大丈夫ですよほんとに!!」
「だーもーうるせぇな!!」
怒ったような呆れたようなはじめさんは、こちらに手を伸ばしてきて、私の鼻をぎゅっと摘まむ。思わず情けない声が漏れてしまった。

「俺が心配になってるだけだから、ちゃんと送らせろ!!わかったか!!」
「〜〜〜っ!!?」
「……あ、わり、息苦しかったか?」

急激に顔に集まる熱を見たはじめさんは鼻を摘まんでるせいだと思ったのかパッと手を離す。なんでそっちって思うのですかこの人は……その台詞のかっこよさは無自覚なんですか!?
ドクドクと痛いくらいに鳴る心臓をおさえながらはじめさんに向き直る。視線は合わせれないけれど。

「よ、よろしくお願いいたします……」
「おう、最初からそう言えっての!」

そうやってニカッと笑うもんだからもう自分の熱さで汗びっしょりです。まだ部活前なのに!朝から心臓に悪い!

そしてふと横を見ると、目を丸くした及川さんと勇くんとあきちゃんがこちらを見ていた。今度はこの三人がそっくりである。及川さんはただただびっくりしたように、勇くんとあきちゃんは不意打ちでも食らったかのような顔だ。
と思ってるとぞろぞろと部員が体育館にやって来る。

「はよーっす」
「うぃーっす」
「花巻さん、松川さん、おはようございます!」
「オハヨー瑠璃、今日もかわいいね〜」
「うちの妹に来ない?」

冗談を言いながら頭をワシワシ撫でてくる二人の手がくすぐったい。二人はいつも挨拶ついでに撫でてくれるのでいつの間にやらなついてしまっていた。花巻さんも変にちょっかいを出してくることはなく、松川さんと同様に、優しい目でまるで歳の離れた妹でも可愛がるようだ。ババアなのに申し訳ないです。

「お二人の妹になれたら楽しそうですね!でもパパ二人がアレなので……」
「あぁ、あいつらか」

二人と友達二人のことを話すと、離れて及川さんとなにやら真剣に話していたはずの勇くんとあきちゃんがこちらを向いた。
「「瑠璃、今呼んだ?」」
「呼んでないよ」
「でもパパって聴こえた気がする!」
「パパ呼ばれた気がした」

地獄耳か。なんだこのパパ二人は。
呆然としてると花巻さんと松川さんが吹き出した。綺麗に笑う二人だなぁ。
「大変だなぁ、娘は」
「あれの息子にはなれねぇわ」
「同情じゃないですか!」

ストレッチするから手伝って、という二人の背中に回る。二人とも軟らかいから別にいらないだろうに。

「ママはいないんだネ〜」
「あ、そうだな。パパは二人もいるのに」
確かに母役いないなぁ。まぁみんな男子だし女性の役はいかがなものかと思う。グイグイと二人の背中を押していると、松川さんが思い付いたように口を開いた。
「オカンなら岩泉じゃね?」
「あぁ〜〜……いや、でも岩泉は瑠璃には母ってより……………」

そこで言葉を終わらせた花巻さんに、松川さんはあぁ、となにを察して納得している。以心伝心か。私にはわからないので教えてほしいものだ。

「母ってより、なんですか?」
「………ウーン、俺まだ瑠璃可愛がってたいし黙っときたいかな」
「花そういうとこ意地悪いよな」
「やかましいわ」
「えっ、教えてもらえないんですか?ここまで話して!?」

気になってると二人は軽くそれをかわして及川さんに指示を扇いだ。

いったいなんなんだ……。




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