変化



校門まで及川さんを迎えにいったらこれってひどい。

「このクソかわいい後輩を、正々堂々ブッ潰したいんだからサ」
もうほっといてやれよ、影山くん気にしすぎかお前は。

「及川さんなにやってんですか、戻りますよ」
「あ、清河ちゃん!迎えに来てくれたの?」
「はじめさんに頼まれちゃ仕方ないですよ」

そんで私もちゃんと挨拶できてなかったし。色々バタバタしちゃってちゃんと話せなかったからなぁ。

「今日はわざわざお越しいただいてありがとうございました。及川さんがうるさくてごめんなさい」
「こちらこそありがとな!清河のせいじゃないから気にしなくていいって!」

スガさんにそうニッコリされて私安心です。というか今日一日の疲れぶっ飛びました。

「瑠璃」
「潔子さん!なっなんでしょうか…」

潔子さんはこれまた綺麗な白くてしなやかな指に紙を挟んで、こちらに差し出してきた。

「なにかあったら、いつでも連絡していいよ」
「へっ!?」

潔子さんのその発言に恐る恐る紙を開くと、細いもののしっかりとした筆圧で書かれた電話番号とメールアドレス。そして「清水 潔子」と下に添えられている。つまりこれ潔子さんの連絡先!?
近くで叫ぶ田中さんの声はスルーだ。女神はここにいた。

「あ、あああ、あとですぐ連絡します!!」
「待ってるね」
ニコリと微笑む潔子さん美しすぎて同性の私も心臓止まりそうです。
…………あ、しまった。及川さんの回収。

「では、烏野の皆さん、また公式戦でお会いしましょう!ほら及川さん、戻りますよ!はじめさんに迷惑かけないでくださいよ!」
「はいはい。じゃ、サーブしっかり磨いとくから、君達もレシーブ頑張ってネ!すぐに上手くなるものじゃないけど☆」

驚くほどに腹立たしい笑顔を携えて言った及川さんにチョップして無理矢理引っ張る。重いんだからほんと勘弁してほしい。
っていうかセリフ変わっちゃったよ……やってしまった……なにか影響出ないといいけど。

「きゃー清河ちゃんと手繋いでるー!うーれしいー!」
「腕引っ張ってるだけでそう捉えれるなんて及川さん大丈夫ですか?診察もう一回してもらった方がいいんじゃないですか?」
「及川さんに触れといてなんて娘だ!」


別に触れたくて触れてるわけじゃねーよ…と思いながら体育館に入る。片付けは終わってみんな自由に過ごしていた。

「はじめさん、お待たせしました!遅くなってすみません!」
「おー、おかえり。気にすんな。クソ川でかいし重いし連れくるの大変だったろ」

ありがとな、とその大きなごつごつした手で頭をわしわし撫でてくる。この人頭撫でるの好きだな。嬉しいけど。それも言わないけど。

「清河はあれだな、」
「はい?」
「頭撫でられるの好きだな。嬉しそうな顔するから、つい撫でちまう」
そう言いながら鋭い目を緩めて笑ったはじめさんは、また私の頭を撫でた。自分の顔が熱くなるのがわかる。やばい、なんだこれ。

「よし、じゃあ軽くミーティングして終わるから準備してこい」
「へっ、あっ、ふぁい!!」

勇くんやあきちゃんや花巻さんから撫でられても、こんな顔熱くなったりしない。なんだこれ。

今まで男性に触れられたときには経験しなかった感覚にまた顔が熱くなってきたのを、先程外に出て少し冷えた手のひらで顔を冷ましながら、ノートを取りにベンチへ走った。




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