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黒崎一護/ほのぼの
『あ、一護!見て、もう花火が売ってる!』
買い物に出た先で、小さく並べられている花火コーナーを見つけた。
やっぱりいくつになっても、こういうものを見るとつい走り寄ってしまう。
「お、ホントだな」
『もう花火の時期なんだねー。ね、1個買って皆でやろうよ!夏梨ちゃんたち喜ぶんじゃないかな』
「は?まだ早いだろ?それにそんなに数出てるわけじゃねぇし」
一護の前に花火セットを差し出したけど、すぐに元に戻されてしまった。
行くぞ、と私の背を押して離れようとする。
『えぇ、ダメなの?』
「ダメ。俺にも計画ってもんがあんの」
『計画?…え、なになに?教えてくんないと花火買っちゃうよ』
何げに言われた言葉が気になって、一護の顔を覗き込む。
先程戻された花火をもう一度手にとって一護の目の前でちらつかせてみた。
しまった、という顔を一瞬したけれど、小さくため息をついた後ぼそぼそと話し始めた。
「…今年も、花火大会あんだろ」
『うん』
「最初の花火とかってさ、思い出に残ったりしやすいじゃん」
『…ん?』
「だから、せっかくなら手持ちとか皆で、とかじゃなくて…でっかいのを鵺雲と2人で見に行きてぇなっていう………あぁもう、なんでもねぇ!行くぞ!」
ぷいっと顔を背けて私の手を握ると、さっさと歩き始めた。
一護の顔は見えないけれど、耳が真っ赤だからきっと顔も赤いのだと思う。
まさか一護がそんなことを考えていてくれたなんて。
つい緩む口に手を当て、気づかれないように笑う。
楽しみにしてるね?という意味を込めて繋がれた手に力を入れる。
一護は一瞬私を見て微笑むと、それに応えるかのように握り返してくれた。
花火ももちろんだけど。
もっともっとたくさん思い出作ろうね?
end.
夏の間置いてた一護の超短編です。
ほのぼのちっくにしてみました。
読んで下さった鵺雲様、ありがとうございました!