纏。
…えーと…??
これは、何?
私の目の前に広がる、服。
ひらひらふりふりなのとか、ピンクいのとか……
しかも何これ。猫耳?
どれもこれも今までに見たことない形のモノばかり。
とりあえず、目の前のヤツに状況確認してみようかな。
『ん〜、修兵?これは、何なのかな?』
「ん?鵺雲に絶対似合うと思って」
にこっと笑って私の手を引くと、鏡の前に立たせる。
『…いやいや、そうじゃなくて。なんでこんな服があんの?』
「なんか現世で『こすぷれ』?っての?が流行ってるって噂を聞いてよ。わざわざ買ってきたんだぜ」
……だからって。
こんなふりふりの着れるわけがない。
普段が死覇装だから、余計にこういうものには抵抗があるし。
眉をしかめて考えてる間に、あろうことか修兵は私に服をあてて鏡と見つめあっている。
『ちょっと!何してんの!!』
「何って…見りゃわかんだろ。ピンクナースって言うらしいぜ。とりあえず着ろ」
修兵は手に持っていたピンクの、しかもちょっとぴったり目の…ナース服?を強引に押しつける。
とっさにいらないとばかりにぺっと投げてやる。
「何てことすんだ、高かったのに!!!!」
あわててその服を拾い上げて私を見た。
…なんでこんなに必死なんだこの男は…。
普段は副隊長だし、むしろクールなのに…。
その反動か何なのか、クールさのかけらもない。
『着れるわけないでしょ、なんでこんなぴったりなやつ着なきゃいけないのよ!』
「だから着てほしいんだって!男のロマンだろ!」
…そんなロマン捨ててしまえ。
それでも拒否する私に、ついに。修兵の目が副隊長のそれに変わった。
「鵺雲。副隊長命令だ。今すぐどれか着ろ。仕方ないから服の選択権だけはやる」
『はぁ!?何がめいれ「似合うかどうかは俺が決める。異議は認めない」
……ヤバい。
かなり本気モードだ。
この状態で拒否したら、きっとやられる。(2つの意味で)
『…わ、わかったわよ。でもそのナースじゃなくてこっちの、黒い、エプロンのやつで…』
タイトなやつは、ぜっっったいに着たくないから。
せめてラインの出ないこのふわふわので…!!
わが人生最大の汚点だわ…!
してやったりという顔をして、普通の修兵に戻った。
うれしそうに笑って、いそいそと黒のふりふりを手渡してくる。
「これ、メイド服っていうらしいぞ。じゃあよろしく。着たら呼んで」
そう言って軽い足取りで部屋を出ていった。
めいど……冥土?
…意味がわからないけど、とりあえず着るしかないか…。
*******
『修兵ー…できた…けど』
「お、どう……だ…」
扉を開けるなり、立ち止まって無言になる。
無言て。
だから着たくないって言ったじゃない。
…やっぱり着るんじゃなかったなぁ…。
『や、やっぱり無理!こんな丈の短いの』
急いでエプロンを取ろうとすると、(わざわざ)瞬歩で私のもとまで来て手を掴まれた。
「取らなくていい。むしろ取るな」
『…は?』
修兵の顔を見ると、いつもより少し顔が赤い気がする。
そしてそのまま抱き締められた。
訳が分からず呆然としていると、耳元ではぁ、とため息が聞こえる。
「…似合いすぎ」
小さくつぶやかれた言葉だったけど、はっきりと耳に残る。
「なんつーか、ヤバい。俺をどーするつもりだ」
『え、いや、どうっていうか…もう恥ずかしいから着替えたいんだけど』
「ダメ。責任とれ」
…責任も何も、私は着替えさせられたのに。
むしろ被害者じゃない。
あまりの理不尽さに体を離し、平手打ちでも食らわせてやろうかと見上げる。
そしたら不敵な笑みを浮かべた修兵と目が合った。
「…何?鵺雲、やっぱり誘ってんの?」
『違っ…!修兵が理不尽なこと言うから殴ってやろうと…!』
「そんな赤い顔で言われても、逆効果なんだけど」
余計に恥ずかしくなり、そのままの勢いで平手打ちしようとしたけど。
あっさりとその手を掴まれてしまった。
『…この顔面卑猥!』
「卑猥で結構。だからメイドらしく、ご奉仕してもらおうじゃねぇか?」
*******
次の日、私は体調不良ということで休みをもらった。
ていうか、修兵の副隊長権限でそうさせた。
…当たり前でしょ。
部下のフォローは上司がしないと。
あんな服、もう二度と着るもんか。
…一方で、いつもよりテンションの高い修兵が各隊舎で目撃されたとかなんとか。
end.
久しぶりに修兵夢あっぷです。
キャラが少し崩壊してしまいましたが。。。
私個人としては、修兵氏はクーデレ希望です。
というかその欲望の片鱗をちりばめてみました。
変態でごめんなさい…!
素敵お題を378様よりお借りしました。
ここまで読んでくださった鵺雲様、ありがとうございましたm(__)m