短編。 | ナノ
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桜が舞う道を、一人歩く。
まわりには、私と同じように新しい制服を身につけた人たちがその道を歩いていた。

空座町を離れて、5年。
親の仕事の関係で、ちょっと遠い町まで行っていたけれど。
高校入学を機に、やっとここに戻ってきた。


周りを見渡す。
いろんな景色、建物が懐かしい。人も、空気もあの頃と同じ。

変わんないな、なんにも。

何だか嬉しくて、つい笑みがこぼれる。


そして、私の目の前のこの空座第一高校も。
相変わらず不良っぽい感じの人たちが多いような気がするけど…。
今も昔も変わらず、大きくそびえたっている。


この町にはこの高校だけだったから、みんなでこの高校に入ろうね、なんて話もよくしてた。

…あの時の言葉通り、皆ここに来てくれているといいんだけどなぁ。


よし、と気合いを入れる。

期待と不安を抱えながら、私は入学式に向かう人の流れの中に飛び込んだ。






張り出されたクラス割を見る。
私は……1-2か。

上から下まで一通りざっと見てみるが、記憶の中の名前と一致する名前はない。

やっぱり、皆違う高校に行っちゃったのかな。

他のクラスも見てみようと目を移したとき。



「鵺雲?」



誰かが私を呼んだ。

振り返ると、背の高い男の人が立っている。
そして、忘れようにも忘れることのできない、橙色が目に入った。


『…一護くん?』

「なんで疑問系なんだよ…まさか俺を忘れたわけじゃないよな?」


呆れたような顔をしてため息を吐く。
そして久しぶりだな、とにっと笑った。


…驚いた。
まさか、ここで一護くんに再会できるなんて思ってなかったから。
初恋の彼は、だいぶ背が伸びて。
顔つきも、声もすっかり男の人になってた。

一瞬、見とれたのは、事実。



『わ、忘れるわけないじゃん!一護くんも、この高校なんだね』

「おぅ。たつきも一緒だぜ」



ほら、とクラス割の貼ってある掲示板を指差す。
1-3のところに、確かに『有沢竜貴』、そして『黒崎一護』と書いてあった。

隣のクラスか…。
どうせなら、一緒がよかったな…。



「鵺雲は…1-2か。一緒のクラスだったら良かったのにな」



私が思っていたことを一護くんが口に出したことで、私の心臓はさらに速くなる。

そうだろ?と橙の髪をぐしゃぐしゃとかきながら私に同意を求める。
思わず勢い良く首を縦に振ると、くすくす笑ってカバンを持ち直した。



「相変わらずおもしれぇな。…っと、そろそろ教室行かないとヤバそうだ。…じゃ、またな」



軽く私の頭を撫で、校舎の方に走っていった。
私は撫でられた頭に手をやりながら、一護くんの背をじっと見つめる。


…ヤバい。

秘めてた初恋が、再燃したようです。








end.



ちょっと続き物にしてみました。


一度切ったほうが(個人的に)好きだったので(ぇ)



お題は確かに恋だった様からお借りしました。




ここまで読んでくださった鵺雲様、ありがとうございました!
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