短編。 | ナノ
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今日も、いつものように。
俺は、鵺雲と一緒に近くのスーパーに来ていた。

鵺雲は、一人暮らしをしていて。
放課後は夕飯の買い物をして帰るのが俺たちの定番コースだった。



『見て、一護!今日は卵が特売だよ!』

「お、じゃあ今日の夕飯はオムライスだな」

『うん、そうする』



ひょいっと卵をカゴに入れる。
玉ねぎや挽肉を入れ、他にも次の日の朝ご飯や飲み物などを買い、レジに並んだ。

鵺雲が会計を済ませるのをレジの外で待ち、カゴを運ぶ。
そして鵺雲が袋詰めし、俺がそれを持つ。



『ありがと、一護』

「おぅ」



いつも通りのやりとりをし、俺たちはスーパーを出て、鵺雲の家へ向かう。


俺が車道側、鵺雲が歩道側を歩いて。



『重くない?半分持とうか?』

「これくらい全然余裕だって。それともなんだ、俺がひ弱だと?」



わざと意地悪っぽく言ってみると、『そんなこと言ってないもん』と言ってむぅとふくれる。


いつも通りだった。

ここまでは。



…なんか、鵺雲がそわそわしている。
ちらっと俺の方を見ては、すぐ目線を戻したり。
話しかけても、なんかぎこちないような感じがしたり。

不思議に思った俺は聞いてみた。



「鵺雲、今日、なんかあったのか」

『え?』

「いや、俺の気のせいならいいんだけどさ。なんか違うなーって思って」



俺がそう言うと、はっとした表情をして困り始める。

…聞いちゃまずかったか…?

変な沈黙があったが、しばらく悩んだあと、口を開いて鵺雲は言った。



『えと、あの…私、一護のカバン持つ!』



…ん?

…えーと……?

今度は俺が困った。

鵺雲を見ると、真剣な顔をして俺を見ていた。
どうやら、何か意図があって言っているようだが…さっぱり意味がわからない。



「…いや、別に大丈夫なん『いーから貸して!ください!』

「…お、おぅ」



その剣幕に押され、つい渡してしまう。


が。
鵺雲は何故かそれを自分のカバンを持っている手で持った。
つまり、片手に2つのカバンを持っている。

謎の光景に、俺が戸惑うばかりだ。



「持ちづらくないか…?」

『大丈夫だよ、軽いし』



そして、続けてこう言った。



『一護も、私も、片手が空いたよ?』







…あぁ。
そういう事か。

素直に言えばいいのに。


俺は、空いた手で鵺雲の手を握った。



「帰るか」

『…うん』



繋がれた手から、お互いの体温が伝わる。
それがなんか恥ずかしくて、俺はさらにぎゅっと鵺雲の手を握った。


その日から、俺たちの『いつも』が、また一つ増えた。








‡おまけ‡

次の日。

『あれ、カバン変えたの?』

「あぁ、さすがに2個持たせるのはな。それに、この方が両手も空くし、いつでも繋げんだろ」



ボスッと肩を殴られた。

…素直じゃねぇな。







end.






糖度高めを目指した夢第2弾です。


一護に手を握られたいです(ぇ)




ここまで読んでくださった鵺雲様、本当にありがとうございました!!
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