ゆらゆらと揺れながら真っ赤に色付いた葉がゆっくりと落ち、音もなく湯船の上に舞い落ちる。
目の前には風情溢れる景色が広がる、露天風呂。
その湯船に浸かり、ふう、と溜息を一つ零す。
近所のおばさんからもらった家族風呂の無料券なんて正直期待していなかったが、予想以上にいい場所だ。
「・・・で、お前はなんでそんな隅っこにいんの?」
ゆったりと湯船に浸かるおれに背を向けたまま風呂の片隅で縮こまっているルフィが、その声にびくりと肩を震わせた。
「恥ずかしがってんの?裸なんて何回も見てんじゃねぇか」
「そ、そんなのとは、なんか違うだろ!」
エースのばか!なんて悪態をつきながら必死に身体を縮めるルフィ。
おれ的には嬉しさのあまり走り回ってそうなイメージだったのだが。すっげー意外。
そして、そんな予想外の反応をされれば、おれの悪戯心はくすぐられる訳で。
「ルフィ〜」
そう広くはない家族風呂。
ちゃぷん、と音を立てて近づくと、その気配に恥ずかしそうに更に身を縮めた。
「こ、こっちくんな!」
「バーカ。せっかくこんな所に来てんのに、なんもしねェ訳ないだろ」
後ろから包み込むように抱きしめてルフィ顔を覗き込むと、先程舞い落ちた葉よりも真っ赤に染まった頬。
その美味しそうな頬に一つ口付けを落として、優しく微笑んだ。
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いい風呂の日!
2012.11.26
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