先程から、ルフィが無言のままこちらを見つめている。
例えばこの状況が、文字通りおれを『見つめている』のであれば(オプションで熱っぽい声で名前を呼んでもらえると尚よし!)、今すぐこの場で押し倒して、全身舐め回して、可愛い声がが枯れるくらいアンアン言わせているのだが。
生憎、そんなおれの欲望とは正反対の形相で見つめられているのだ。
というか、睨まれている。
「えーと・・・、ルフィさん?怒ってる?怒ってますよね?」
「おう」
それはそれは恐ろしい程お怒りの表情でこちらを睨んでいるルフィ。
しかし、そんなルフィには悪いのだが、おれはルフィの怒りを買うようなことをした心当たりが全く以ってない。
強いて言うなら、昨日の夜、ルフィを部屋に無理矢理連れ込んで朝方までおいしく頂かせてもらったことくらいだ。
・・・え?それで怒ってんの?
しょうがねぇじゃん。男の性じゃん。
好きな子が風呂上りに上半身裸で目の前をウロウロしてたら、そりゃー興奮しない訳ないだろ。
「昨日の夜!!!」
急に叫ばれ、身体がビクリと動いた。
いきなり叫ぶなっての!
とりあえずそれは置いといて、叫んだルフィを見てみると、先程と変わらぬお怒りな表情。
えーと、昨日の夜?
やっぱそれで怒ってんのか?
だけど、何の警戒もなしに裸でウロウロするお前も悪いっつーの。
でもまあ確かに、もう無理、と涙目で懇願するルフィに更に興奮して、止めることなく付き合わせたのは事実だ。
そして、最後は意識を飛ばすようにして眠りについたルフィには、かなり無理をさせているのも確かである。
・・・うん。謝るべきデスヨネ。
「あー、ルフィ。ごめ・・・」
「エースの浮気者!」
「・・・はい?」
予想外の言葉にかなり驚いた。
ウワキ?誰が?
「は?浮気?誰が?」
「エースが!昨日の夜!浮気した!」
いやいやいやいや。
浮気なんてしてない。神様(なんて信じてねぇけど)にも誓える。
浮気どころか、目の前にいる可愛い可愛いアナタのせいで、女にすら興味ないですからね。
責任取って下さいね。
というか、まず今の状況を考えよう。
現在は午前10時過ぎ。
昨日の夜とは、つまりおれが風呂上りのルフィにムラムラして部屋に連れ込んでおいしく頂かせてもらった時のことである。
そして、ルフィが落ちるように眠りについたのが朝日が照り始めた頃だ。
それからおれもルフィの寝顔を暫く堪能して眠りにつき、先程ルフィに叩き起こされた所ではないか。
現に今も一緒にベッドの上だ。
昨日の夜、おれが浮気したはずがない。
「ルフィ、昨日の夜から一緒にいただろ?浮気なんかしてねぇよ」
「浮気しただろ!おれの夢の中でっ!!」
「・・・・・・は?」
またまた予想外の言葉に驚く。
夢の中?なんだそりゃ。
しかし、当の本人はいたって真面目なようで。
鬼のような形相で睨んでいたルフィが、今度は瞳を涙でうるうるとさせながら、浮気者!と叫んでいる。
「落ち着けよ。夢だろ?おれは浮気してねぇよ」
「でも、エースがおれの目の前でちゅうしてたんだ!サッチと!」
「よりによってサッチかよ!!まじねぇわ!!つーか気持ち悪ぃ!!!」
どうせならもっとマシなやつと浮気しろよ!ルフィの夢の中のおれ!
そんなツッコミはさておき。
正直言ってこんな夢の話なんてどうでもいいのだが、目の前のルフィがお怒りモードから本格的に泣きモードに入ってきたので、とりあえず宥めることにしよう。
いや、泣きモードが面倒くさいとかじゃねぇよ。むしろうるうるした瞳が堪らなく可愛いですからね!
「ルフィ、ただの夢だって」
「うー、本当はエース、浮気したいんだろ」
「いや、なんでそうなるんだよ」
「だって、夢の中のエース、おれにもう飽きたって言ってサッチとちゅうしてた」
ポロポロと涙を落としながら言うルフィ。
ないない。絶対ない。
天地がひっくり返ったって、ルフィに飽きるなんて絶対にない。断言できる。
あと、言わせてもらうなら、本当に何かの間違いでルフィのことを飽きたとしても、サッチとは死んでもないわ。無理無理。
「お前、昨日あんだけ愛してやったのにわかんねぇの?おれ、ルフィに骨抜きなんだよ」
「ほねぬき?」
「そ。骨抜き。つまり、ルフィにゾッコンってこと。お前以外に興味なんかねぇよ」
「・・・絶対か?」
「絶対。逆に、ルフィのこと愛しすぎちゃってやべぇよ」
リアルに犯罪犯しちゃいそうなくらいですからね。
そんな言葉は飲み込んで、溢れ落ちた涙を指で掬ってやると、ぱあっと笑顔になって抱き付いてきた。
「おれも!エースにほねぬきだ!あいしてる!」
昨日の情事の為にまだほんのり熱を持った、一糸纏っていない身体で抱き付かれ、更にこんな口説き文句を言われれば反応しない訳がない。
夢の中のおれとサッチ。
キスしてくれてありがとう。
只今からまたまたおいしく頂かせてもらいます。
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サッチごめん(笑)
2012.09.06
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