「彼女出来た」


エースが不意に言った。


「ふーん」


一言そう言って、この話は終わった。
だって、本当にそうとしか思わなかったし、ゲームに夢中だったから。

てゆうか、エースに彼女が出来るのは初めてじゃない。
結構、取っ替え引っ替えしてる方だと思う。
本気にならないなら、彼女なんて立場にしなければいいのに。
その時はそうとしか思わなかった。


そして、その数日後。
エースが彼女を家に連れてきた。
今まで家に彼女を連れて来たことはなかったので、さすがにこれにはびっくりした。

茶髪でふわふわとした髪の毛の、目がぐりっとした女の子。
エース、とうとう本気になった彼女が出来たのか。







何時間かして部屋から出てきた彼女は、お邪魔しました、と言って帰っていった。
家を出る時、真っ赤な顔で恥ずかしそうにエースを見ていたので、ああ、エースに散々やられたんだろうな、と思った。


おれの隣の部屋で。
いつもはおれが居るはずの、エースの部屋、で。



ふつふつと何かが煮えるような感覚がする。

そう感じていると、座っていたソファの横にエースが腰を掛けた。
お互い一言も言葉を発せず、暫く沈黙が続いた後、なあ、とエースが口を開いた。


「あいつ可愛いだろ。カラダの相性も結構よかったし、お前の事もういらないかも」


ソファの背の部分に両腕を伸ばし、足を組んでいるエースが無表情で言った。

この態度、気にくわない。

頭の中で何かが煮えている音が大きくなり、咄嗟にエースの組んでいる足の上に跨がる。
それにより目線が高くなったおれをエースが見上げる。


「…なあ、あのカノジョ、エースのこと全部満足させてくれんのか?」


胸ぐらを掴み、ぐっと顔近づけてエースを睨む。
未だ全く表情を変えないエースの目は、血が通っていないようで冷たい。


「おれが一番エースを知ってる。キモチヨクしてやれる」


睨むおれを暫く見つめた後、ニヤリと口角を上げてたエース。
やはりその目は笑っていなかった。


「じゃあ、おれが彼女の事どーでもよくなるくらい、キモチヨクしてくれな」


冷たい目とは反対に、甘く囁かれる。

当たり前だ。
他のヤツなんかに渡してたまるか。



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独占欲の強いルフィと、それを分かっててわざと仕掛けるエース。



2012.08.06



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