※25歳×22歳
※微エロ…?




高校を卒業して入社した会社の洗礼を受けた歓迎会。
付き合いだと何度も連れられた酒の席。
仲のいい友人達とのバカ騒ぎ。

その他諸々、幾度となく浴びるように酒を飲んできて分かったこと。
どうやらおれはお酒に強いらしい。
もちろん全く酔わないという訳ではないけど、気分が上がるくらいで、記憶を飛ばしたり、立てなくなるなんてことはなかった。

しかし、お世辞にも面倒見がいいとは言えないおれは、泥酔した友人や先輩を介抱なんて出来るわけもなく。
泥酔した人を誰かが介抱しているその様子を大変だなあ、といつも見ているだけだった。
そして、今日も友人との飲み会でその様子を見ていて、ふと疑問に思ったこと。


エースって、泥酔したらどうなるんだ?


3つ年上の兄も高校を卒業して社会人となり、よく酒の席に付き合わされていた。
だけど、そこからどんなに遅く帰宅してもエースはいつもほろ酔い程度でしかなく、友人や先輩のように泥酔した姿を見たことはなかった。
エースも酒に強いのか?それとも、おれと違って面倒見のいいエースは、飲む量をセーブして介抱役に回っているのか?
よく考えれば、おれとエースは一緒にお酒を飲んだことは数える程度しかない。
その数回も、家でテレビを見ながらビール1缶とか、夕飯と一緒に少しだけとか。

その事に気づいたら、エースの泥酔した姿が見たくて堪らなくなった。











「エース!今日、酒買って来たから一緒に飲もう!!」


先日から気になって仕方なかったおれは、2人とも休日の前夜を狙って仕事帰りに大量のお酒を買って来た。
ビール、チューハイ、度数の高めの焼酎。あと、おつまみ諸々。

既に夕飯の準備をして、おれの帰宅を待っていたらしいエースは、ソファに寄り掛かってテレビを見ていた。
その顔をこちらに向けて、しかめっ面でおれを見る。


「酒ぇ?なんでいきなり?今まで飲んだことなんてねえじゃねーか」

「だからだろー!明日2人とも休みだし!最近一緒にゆっくり出来てなかっただろ?」


もう買ってきたし!エースと飲みたい!お願い!とエースの横に座り、強請る。
そうしたら、あまり乗り気ではなかったが渋々了解してくれた。
やったー!と叫んだら、はあ、と溜息を吐きながら立ち上がったエースに頭をぐしゃりと撫でらた。


「とりあえず、メシ食い終わってからな」











夕飯を食べ終え、風呂も済ませて夜も更けた頃。
まずはビールで乾杯して、それから仕事の事とか、友人の事とか、小さい頃の思い出とか。他愛もない話を沢山した。
その間、さり気なく…出来ていたかは別として、エースのコップに度数の高い焼酎を次々と注いでいった。ロックぐらいの勢いで。
それに気づいているのかいないのかは解らないが、注いだお酒をがばがばと飲み干すエース。
しかし、いつも見るほろ酔い以上に酔う気配がない。

エースも泥酔とかしないのかな?

ちびちびと飲んでいたおれも、それなりに酔いが回ってきていた。
買ってきたお酒もほとんど空になっている。
しょうがなく、今回は諦めようとしていた頃。


ゴツンッ

と鈍い音。
その音にびっくりしてエースに目を向けると、テーブルにおでこから落下していた。


「エース!!大丈夫か!?すげー音したぞ!?」


慌ててエースに近づくが大して痛がった様子もなく、んー、と弱々しい返事が返ってきた。
…エース、酔ってる?
顔を覗き込もうと更に近づくと、今度は勢いよく顔を上げた。


「るふぃ〜〜〜〜」

「うわっ!」


舌足らずに名前を呼ばれ、がばっと抱きついてくる。
その衝撃で2人して倒れ込んだ。
酔って力が入っていないのか、おれの上に乗っかるエースが凄く重たい。
そして、おれの顔にキスの嵐。


「るふぃ〜すき〜」

「エース!重い…!」

「ん〜。るひ〜ちゅ〜」

「お、落ち着け!酔ってるぞ!」

「よってらんか、ねえよ〜」


絶対酔ってる!目ぇ据わってる!

身体を退かそうと両腕でエースの胸を押すも、びくともしない。
その間も顔中にキスをするエースをなんとか宥めようとしていた所で、ぞわりとお腹に違和感。
と、それに気づいた時には、エースにTシャツを首元まで捲り上げられていた。


「ちょ、なにす、…んっ!」


胸の突起を体温の上がった舌でべろんと舐められ、声が漏れた。
その声に気をよくしたのか、ちゅうっと吸ったり甘く噛んだり先の方を舐めたりしながら、片方を指で抓まれる。


「ぅあ…んっ、エー、ス」


適度に酔って火照った身体は敏感に反応して、抑えたくても声が漏れる。
それでもなんとか止めようと肩を押すと、代わりに突起をつまんでいた手が離れ、両手首を掴まれる。
そのまま頭の上でがっちりと拘束され、力を込めるが逃げられない。


「ぁっ…やめっ」


その後も執拗に攻められ、甘い痺れが全身を駆け巡る。
何とかエースに抗議の声をあげるも、行為は止まらず。

…ていうか!!!


「エースっ、酔ってない、だろっ…!」


なんとか振り絞ったその言葉にピタリ、と舌が止まる。
ふーんと言いながら上半身を起こしたエースがこちらを見下ろす。


「正解」


ニヤリと笑ったエースが、舌なめずりをする。


「おれをハメようなんて10年早えよ」


そうしておれにまたがったまま上着を脱ぎ始めたエース。
逃げ出そうにも、自由になったはずの腕も、エースによって砕かれた腰も言うことを聞かない。

やられた。今日は完敗だ。

しかも、明日は2人とも休みである。
明日仕事だからという言い訳は通用しない。
自分の首を絞める、というのはこういう事か。と身を持って実感した。



そして、エースはおれの頬に手を添えて言うのであった。


「いただきます」






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結果:エースを引っ掛けてはならない



2012.07.08




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