「エース!俺、あれ見たい!」
「見たいじゃなくて食いてぇの間違いだろ」
「ししし!いいだろ!早くいこーぜ!」

ぎゅっと手を握り早く早くと急かす弟に引っ張られるようにして歩かされる。そこら中にある屋台に目移りしながらあれもこれもと言ってくるルフィに呆れながら、それでも満足そうに笑う。
近所の神社でお祭りがあると聞いたルフィに連れられて出店が並ぶ道を歩く。祭りと言うだけあって手をつないでなきゃルフィを見失ってしまうくらいの人の多さ。
こういう時なら自然と手が繋げると密かに嬉しくなる。ルフィは堂々としてるというか、何も考えてないというか…、そもそも手を繋いで歩くとか腕を組むとかそういうのを特別視してるかさえ怪しい。

「エース?ほら、着いたぞ?」
「え、あぁ、これ一つ」

ルフィに催促されチャリン、と小銭を出して支払うと手前にあった大きいのを選んでルフィは満足そうに笑う。
それから、あっちいこうこっち行こうとエースを連れ回していたルフィも疲れたのか何処かへ座ろうと言い出した。
人多すぎてこの辺りじゃ座れるかわかんねぇと、人から外れるように奥へと進んでいく。

「エース!どこまでいくんだ?」
「え、」
「もう人いねぇよ?ここに座ろう!」

ポンポンと祠の前の石段を叩く。
よいしょ、とルフィの隣に腰掛けあたりを見回す。
随分と歩いて来たらしく、祭りの喧騒も遠くに聞こえ、ルフィの息遣いが大きく聞こえるほど静か。
景色は殺風景で遠くの方に屋台の光が見える。こんな場所あったんだな、と上を見上げると今まで気づかなかったがとても綺麗に星が見える。

「ルフィ、星がすげぇ綺麗だぞ」
「ん?あ、本当だ!すげー!」

さっき買った飴を頬張りながらすげーすげーと楽しそうに星をみる。そうだ、せっかくだし短冊に願い事でも書いて帰ろう。
ルフィもそういうのは好きだろうと立ち上がると、釣られてルフィと立ち上がる。飴を持っていない方の手を引きスタスタとたくさんの短冊が置いてある場所へと歩く。

「?ここで何すんだ?」
「ほら、これに願い事書いてこの竹に縛るんだよ」
「何のためにだ?」
「願いが叶いますようにって織姫と彦星に頼むんだよ」
「………ふーん」

眉間にシワを寄せ短冊と睨めっこするルフィに薄く笑うとエースもペンをとり何を書こうか悩む。
願い事なんて、そんな無いがしいて願うならルフィの事だな、とサラサラと書き始める。
たった一言を短冊に書くとチラッとルフィを見る。書いている様子はなく今だ短冊と睨めっこ。

「ルフィ、書けたか?」
「いーや、俺かかねぇ!」
「何でだよ?願い事ねぇのか?」
「ない訳じゃねぇんだけどよぉ」
「?じゃあ書いたらいいじゃねぇか」

うーん、と唸ったかと思うとじっと俺を見て

「俺、エースが居てくれるだけで幸せだし。願い叶ってるしな!ししし!」

なんて言ってくるもんだから、くしゃっと自分の書いた短冊を丸めその辺のゴミ箱へと捨てる。
いいのか?なんて声がしたがいいんだとルフィの顔をみず再び手を引き歩いてく。

「…どうしたんだ、エース?顔真っ赤だぞ?」
「…なんでもねぇよ。早く帰って風呂はいるぞ」
「おう!」

ぎゅっと繋いだ手に力を込めると、それに応える様にルフィも手に力を込める。
敵わねぇな、とボソッと呟いて今日はどう可愛がってやろうかとにやりと笑うと家へと急いだ。


(想いは君と一緒。)




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【ななころび】の蓮様宅から、素敵な七夕フリー小説を頂いちゃいました!!
もう、ホントに萌え死にしそうっっっ!!!(バタバタ
きっとこの後ルフィはもの凄く可愛がってもらったんでしょうね!鼻血出るー!

蓮様、素敵な小説ありがとうございました!!



2012.07.07




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