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「レプリカ世界の創造…」
「名前のとおり、レプリカだけの世界ってか?狂ってるぜ…」

──だが、それこそがこの預言に支配された世界を救う、唯一の方法なのだ…

「!?」
「いけない!皆さん、分散しなさいッ!!」

突如声が聞こえたと思ったら、ジェイドが分散するように指示をした。すると今まで固まっていた所で譜術が発動していた。

「誰だッ!?」
「威勢はいいようだな。レプリカ、お前の新しい仲間は」

アテムが吠えると近くの岩の上に人が現れた。遊戯とアテムは誰だかわからなかったが、ルークは一瞬で顔面が蒼白になった。

「久しいな、レプリカ」
「ヴァン…、せ、んせ、い」
「ヴァン!!何しに来やがった!」
「あれが……」
「ヴァン…ティアのお兄さん……」


求められる者、求められない者


「アッシュ、いつまでそのレプリカと一緒にいるつもりだ?」
「てめぇに言われる事じゃねぇ!!オレはてめぇのくだらねぇ考えにうんざりしてんだよ!」
「……だから、その出来損ないのレプリカと共に行動すると?」
「こいつは、出来損ないなんかじゃ…ッ!?」

突如、アッシュの後ろから凄まじい殺気が放たれ始めその方向に向くとアテムが立っていた。アッシュはまさか、と思ったがルークはもちろん、あの死霊使い(ネクロマンサー)と呼ばれたジェイドでさえ冷や汗を流していた。

「貴様…さっきから聞いていれば……ルークのことを出来損ないだと…?」
「だからなんだと言うのだ?アクゼリュス崩落には役立ってくれたが、アッシュに比べれば…」
「貴様、間違ってるぜ。あぁそうだ…ルークは、必死に生きている。レプリカなんて思わせない普通の人間らしくなぁッ!!」

一瞬の出来事だった。金属音がなったと思えば後ろにいたはずのアテムがヴァンに剣を向けていた。ヴァン以外は何が起きたのかわからなかったが、ヴァンは瞬間的に抜刀して攻撃を防いでいた。

「ほぅ…なかなかやるではないか」
「貴様に褒められても……嬉しくないぜ!!喰らえ!」

──烈破掌ッ!!

左手に一気に気を溜めて、それをそのままヴァンに向かって撃ち放った。隙を突かれたヴァンは気に押され吹っ飛ばされた。

「す、凄いんですけど…」
「兄さんを、吹っ飛ばしたというの!?」

ヴァンは近くの岩壁に吹っ飛ばされたため、叩きつけられた衝撃か土煙で周りが見えなくなっていた。アテムは立ったまま岩壁を睨んでいた。

「アテムがヴァンを倒したのか!?」
「だと、ありがたいんですけどね……ヴァンはあれくらいでは…」
「!?もうひとりのボク、避けて!」

遊戯が叫んだ次の瞬間、アテムの足下に譜陣が形成された。咄嗟に避けたものの、発動した譜術が大きかったためアテムの小柄な体は吹き飛ばされた。

「あ、ぐ…ッ」
「もうひとりのボク!」
「ユウギ!?今行ったらお前も…」
「ボクは、もうひとりのボクをほっとけないッ!」

ガイの制止を振り切り遊戯はアテムの元に駆け寄った。
すぐさま回復術で治療はするものの衝撃は凄まじいものだったらしく、すぐには動けなさそうだった。

「ぐ、くそ…」
「もうひとりのボク、無茶しないで!」
「他人の心配してる場合か?」

ヴァンの声がしたと思えば、目の前で剣を振り被っていた。いつの間に移動していたんだ、と内心毒づきながらも足の早いガイは駆け出していた。ルークとアッシュもそれに続いた。

「お前たちは私の計画の邪魔になりそうだ……だから今ここで退場してもらう」


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