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「…?新しい、仲間?」
「根暗ッタにはかんけーないでしょー!」
「うぅ…アニスのいじわるっ!!行け!」
アリエッタが合図を出すと、茂みに隠れていた魔物たちが飛び出てきた。
「くそっ!行くぞ、みんな!!」
ルークの言葉と同時に全員が散った。ちなみにジェイドはディストを弄り倒している。
──氷のつぶてよ 降り注げ…
「アイシクルレイン!」
アテムが譜術を発動させ、譜陣から大きな氷のつぶてが降り注いだ。逃げられた魔物はなんとか逃げたが、何体かはつぶてに押し潰されていた。
「あーっ!アリエッタのお友達に何するの!酷いっ!」
「ごめんね…ボクたちは生きなきゃいけないんだ、」
──全てを灰燼と化せ
「エクスプロード」
遊戯の放った譜術は残りの魔物を焼きつくし、アリエッタはただ呆然と立ち尽くしていた。
「…う、そ」
「……アリエッタさん、ごめんね……ボクたちは生き抜かなきゃいけないんだ。帰るためにも」
「……少し、眠っててくれ」
背後からアテムが手刀をアリエッタに当てた。声をあげないまま、アリエッタは気を失い崩れ落ちた。
「ルーク、安全な所はあるか?出来れば日陰がいい」
「あ、あぁ…そこに小さい洞窟があるぜ……」
「ありがとう」
アテムは腕にアリエッタを抱え歩き出した。その表情は見えなかったが、ルークにはなんとなく気持ちがわかったような気がしていた。
──キィン
「うっあ…アッシュ……か?」
『レプリカ、今何処にいる!?』
「エンゲーブに近いところ……」
『……そこから動くなよ。今、エンゲーブにヴァンがいる』
「せ、んせ…が?」
『今、そっちに行く。待ってろ』
フォンスロットを介してのやりとりを終えルークはその場に座り込んだ。
「エンゲーブに…師匠が……」
ルークの呟きは、誰にも聞こえることはなかった。
そして、彼の肩が震えていることすら気が付かなかった。
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「で、なんだこいつらは」
アッシュがルークたちと合流し、いちばん始めに切りだした話はこれだった。いつの間に仲間が増えたんだ、とその目は語っていた。
「あ、あの…ボク、遊戯って言います」
「……アテムだ」
「……」
アッシュは不審そうに遊戯とアテムを見た。そんな雰囲気を見かねたのか、意外にも助け船を出したのはジェイドである。
「彼らは、1週間ほど前に超振動と思われる第七音素発生地点にいました。武器も持たず、魔物が多い地点でしたので共に行動することにしました」
「……一応聞くが、そいつらは第七音譜術士だったのか?」
「えぇ。もしかしたらティアやナタリアよりも強い…ね」
ルークたちと行動しているところをみて一応は信用したのか、ルークを介してここに留まらせた理由を話し始めた。
「レプリカには言ったが………エンゲーブにヴァンがいる。恐らく、資材や食料調達といったところだろう」
「困りましたわ…こちらももう食材があまりありませんわ」
「最悪、数日は水だけになるわね…」
「確かに…師匠がいるところにこのまま行くのはマズイよな……」
話を聞いていた遊戯とアテムだが、気になることがいくつかあった。
話に出てきたヴァンという人物。
何故、ヴァンに会うといけないのか。
アッシュがルークをレプリカと呼ぶ理由。
そもそもレプリカとはなんなのか。
真相を聞くため、アテムは口を開いた。
「すまない。聞きたいことがあるんだ……聞いてもいいか?」
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