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一方、十代は十代の力で実体化したティエリアのエース、菫色の天使(バイオレット・エンジェル) ヴァーチェに乗せられロックオンとアレルヤを捜していた。

「あっれー…いねぇな…」
「戻ったんじゃないか?」
「あー…確認してみっか…」

十代はポケットに突っ込んでいた携帯を取り出すとレベッカのところに待機している城之内の番号にかけた。呼び出し音はすぐに切れ彼に繋がった。

「あ、城之内さん?ロックオンとアレルヤ、戻ってます?」
『たった今戻ってきたところだぜ?遊戯が見つかったのか!?』
「詳しい話は後。とりあえずオレとティエリアでそっちに戻ります」
『あれ?十代は遊星と組んでたんじゃ…』
「それも説明しますよ。とにかく戻ります!」

電話を切り落とさないように慎重にポケットへ携帯を戻すと、タイミングを図ったかのようにティエリアがヴァーチェに城之内たちのところへ行くように指示を出した。


*****


「遊戯は見つかったのか!?」

城之内がいちばん初めに発した言葉がこれだった。ロックオンとアレルヤも同じで言葉に出さなくても遊戯の安否を聞きたそうにしていた。

「説明、よく聞いてくださいよ?まず遊戯さんは見つかってません」
「じゃあ、なんで戻ってきた!?」
「だけど遊戯さんがいそうなところに遊星と刹那が向かってます」

遊星と刹那が?と首を傾げた3人。すると黙っていたティエリアが十代の説明に補足をし始めた。

「十代のデュエルモンスターズを実体化させる能力を引き継げるのは遊星しかいない。戻るのには十代と遊星、分かれるしかなかった」
「まぁ、そういうこと。あとユベルもついてってくれてるから大丈夫だとは思うけど…」
「そういや、遊戯がいそうなところって…」
「こっからが重要なんです」

十代は一息入れ言葉を切ると、一層真面目な顔つきになりじっと前を見据えて話を続けた。

「遊戯さんがいるところは、あのオレイカルコスの闇の力が発生しているところかもしれないんです」

その言葉を聞いた瞬間、城之内とロックオン、アレルヤの顔が青ざめた。その仮説を立てた十代とティエリアは表情を変えることはなかったが。

「ちょっと待てよ…それ、嘘だよな…?」
「いや、ユベルが確認済みだ。多分間違いないと思う」
「そんな…」
「遊戯さんなら負けないとは、思います。けど万が一の事も考えるべきだ」

十代が言う万が一の事。すなわち遊戯の敗北。敗者に何が起こるかはわからないまま。ダーツが言っていた魂を貰う──それが関係しているならただでは済まないだろう。

「今は遊星と刹那、そして遊戯の無事を祈るしかない僕たちにはそれしかできない」

ティエリアの言葉が虚しく響いた。


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