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「バトル!スターダスト・ドラゴンの攻撃!響け、シューティング・ソニック!!」

スターダスト・ドラゴンの口から強烈な音波が発せられた。それはハーピィレディをあっという間に破壊してしまった。

「く、うぅ…」

舞 LP 4000→2800

「リバースカードを2枚セットしてターンエンド」

遊星
手札2枚
リバース 2枚

「遊星と何度かデュエルしたけど……今までのスタイルとは全然違う。あんなに、早くて、シンクロ召喚なんて使ってなかった…」
「あれが、遊星の本気」
「……多分、今まで満足に戦えなかったんだ。デッキも戦術も変えざるえなくて…」

デュエルを見守ってる遊戯たちからは驚きの声しか出なかった。ただし、海馬だけは楽しそうに見守っていたが。ちらっとその様子をみた刹那は、またデュエルモンスターズの新しいアイディアでも思いついたんだろ、と小さくため息をついていた。

「面白い、デュエルスタイルだね……」
「…オレの本当のデュエルスタイルだ。そして、スターダスト・ドラゴンは大切な………相棒だ」
「相棒、ね…どこかのバカみたいよ…」
「オレは、こいつと共に歩んできた。ジャックと決着を付けるときも、鬼柳と戦ったときも……だから、あんたたちの思想を認めるわけにはいかない!スターダストと仲間と歩むためならオレは戦う!」

舞から見た遊星の雰囲気はさらに鋭く、だがすべてを包み込むようなものだった。舞はそれが羨ましくも今はそれが鬱陶しかった。

「うるさいね!あんたみたいなのがいちばん嫌いだよ!あたしのターン、」
「孔雀舞。そこまでだ」

突如、第三者の声が響いた。声の方へ顔を向けると、屈強な男とヘソを出した男が立っていた。

「ラフェール、アメルダ…!」
「ダーツ様が戻られるようにと。不動遊星、このデュエルはここで終わりにさせてもらう」
「………」
「ふぅん。貴様らが敵前逃亡とはな、笑わせる」
「海馬瀬人。いずれお前の魂をいただく」
「やれるものならな!」

そう言うと3人はその場から立ち去った。遊星はそれを見届けるとデュエルディスクのスイッチを切り遊戯たちの方に駆け寄った。

「遊戯さん、城之内さん大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…」
「舞が、なんで……」
「そこまではなんとも。ですが、はっきりとわかるのは彼女に敵意があった…」

遊星の言葉がますます遊戯と城之内の心を抉った。そんななか海馬がインダストリアル・イリュージョン社の建物から出ていこうした。それを止めようとしたのは十代だった。

「ちょ、海馬さん!?」
「オレはオレで動く。大人数で動くのは苦手だ。何かわかったら連絡しよう……」

そう言って海馬は颯爽と去っていった。あーぁ…なんてため息をついて十代は頭をかいた。

「で、社長サンもいなくなったけど…どうするよ?」
「ペガサスって人もやられたんじゃ…」
「ここまで来てむだ足なんて僕は嫌だぞ」
「……ペガサスの部屋に行く」

ずっと黙って俯いていた遊戯だがロックオンたちの会話を聞き、口を挟んだ。その言葉を聞いた遊星と刹那たちはクエスチョンマークを浮かべ、十代は何となく理由を察した。

「ペガサスなら…何かしらの手段を残しているはず。今は…それにかけるしかない。城之内くん、舞があいつら側にいたのはきっと理由がある。だからそれを知るために……オレたちができることをしよう?」
「やれることをやる…」
「遊戯さんの言うとおりだぜ!あんなわけわかんない連中に好き勝手言われたりするのはごめんだ」

暗かった城之内の表情が徐々に明るさを取り戻していった。そして十代の言葉は遊戯たちに闘う気持ちを奮いたたせた。

「ま、とにかく行きますか。言っとくけど刹那とティエリア、迷子にはなるなよ?」
「ロックオン、オレはそこまで子供じゃない」

刹那が見事なまわし蹴りをロックオンに入れるのをアレルヤが苦笑いしながら宥めた。それを見ていた遊戯に心の中から表人格の遊戯が声をかけてきた。

(もうひとりのボク、疲れたでしょ?ボク変わるよ)
(べつに、大丈夫だぜ?)
(いーから、変わるよ!)

千年パズルが輝き遊戯の人格が入れ代わった。鋭く光っていた眼も優しい光を宿したものに変わっていた。

「……もうひとりのボクは無茶しすぎなんだよ…」

誰にも聞こえないよう言った言葉は白く塗られた壁の空間に消えていった。だがその言葉は遊星だけには届いていた。

(やっぱり無理してた。とにかくあの夢のことが現実にならないようにしなければ……)

――遊戯さんは壊れてしまうかもしれない…

サファイアのように綺麗な眼を細め、遊星はただ遊戯のことを思うのだった。


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