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「すいません。彼女たちが今着てるものと、オレのを合わせて…」
「かしこまりました」
「このまま着て行きたいんだけど、大丈夫ですか?」
「先程着ていた服は、袋に入れておきますね」
「あ、それと、これに合う靴ってありますか?」
「はい、少々お待ちください…」
店員は靴を奥へ探しに行った。
「る、ルーク…なんか、悪いわ……」
「大丈夫だよ。それに、ふたりとも女の子なんだからさ、もう少しオシャレしても、いいんじゃねぇか?」
「ルーク、優し〜い!」
「お待たせしました。こちらになりますが…」
「うん…これもお願いします」
「では、お会計をしますので、こちらへ」
ルークは店員と共に会計を済ましに行った。
「ティア、似合ってるよ!」
「アニスも、似合ってるわ」
「なんだか、ルーク優しいよね」
「え?彼、元から優しかったけど…」
「違うって!なんだか、もう、自分は何もしてやれないからって感じ?」
「……まさか」
「ティア?」
「あ、なんでもないわ」
ティアは何かを悟ったかのようだった。
(ルーク…)
「待たせたな?お祭り、行こうぜ?」
「えぇ…」
「早く行こ〜!」
「ありがとうございました」
ルークたちは服屋を後にした。
「ねぇ、ルーク」
「ん、どうした?」
「……ごめん、なんでもないわ」
「…?」
(い、えるわけ、ないわ…まだ、今はまだ……)
──消えないで、いなくならないで。
「ガイ!ナタリア!」
「お、ふたりとも似合ってる」
「えぇ、似合ってますわ」
「えへへ〜、ありがとう」
「あ、ありがと…」
「そういえば、これから女装コンテストあるんだとよ」
「へぇー、面白そうだな」
「ルーク、ちょっといいか?」
「どうした、ガイ」
「こっちに来てくれ」
「??」
ルークは何の疑いもなく、ガイについていった。
「ガイ、ルークをどこに連れていったんだろ?」
「ふふ、すぐにわかりますわ」
「すぐに?」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!?ガイ!やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」「ルーク!?」
「ま、まさかと思うんですけど〜…」
「そのまさかですわ」
その時のナタリアの笑顔は、とても綺麗だったらしい。
「ただいま〜」
「ルーク、とても似合ってますわ」
「言うなっ!」
「ほぇ〜…本当にルーク?」
「綺麗…」
「だろ?」
「なんで、オレがこんな格好しなきゃいけないんだっ!!」ルークはガイの手によって、長髪のウィッグを付けられ、その髪を結っていた。また、黒色のゴスロリ服を着せられていた。
いわゆる、女装である。
「だって、お前があのコンテストでるんだぜ?」
「はぁ!?」
「面白そうだなぁ…と思って見に行ったんだが、勝手にエントリーされてたな。たぶん、犯人は
ピオニー陛下だと思うんだが……ちなみに、その服は受付で貰った」
「ピオニー陛下、いたの?」
「えぇ、審査員席にいましたわ」
「ピオニー陛下、マジ許さねぇ……!!」ピオニー陛下にうっすら殺意が目覚めた瞬間だった。
「ピオニー陛下なら、納得するかも〜」
「ピオニー陛下……」
「それと、気になったんだが……
旦那(ジェイド)とアッシュ、フローリアンの名前があったような気がする」
「……マジで?」ますます、気が重くなるルークであった。
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