1

「さぁ、こい!絶対止めてやるから!!」
「お、言ったなー!このオレのシュート止めたらジュース奢ってやる!」
「かっとビングだぜ!十代さぁぁぁぁん!」

青く澄み切った空の下、稲妻町の河川敷サッカーグラウンドには青年と少年たちの元気な声が響き渡っていた。堤防の斜面に座り込んでいたふたりの奇抜な髪型の青年はそんな少年たちを見てほうけていた。

「なぁ、遊星」
「なんですか、遊戯さん?」
「なんでオレたちここにいるんだろうな……」
「さぁ……」

これで何度目になるかもわからない会話を打ち消すかのごとく、ボールを蹴った青年の喜びの声が稲妻町に響いた。


******


ことは数時間前。雷門中学サッカー部キャプテン、円堂守が日課となっている特訓をするために河川敷を訪れたところまで遡(さかのぼ)る。最近GK以外にもDFやMFをするようになったためシュート力やコントロール力をつけるようにとサッカーゴールのある河川敷を特訓場所に選んだのだ。ところが河川敷に着くと、見たことのない人たちが4人も倒れていたのだ。これにはさすがの円堂も驚き慌てて4人を起こしにかかったのだ。

いちばん最初に目を覚ました茶髪の青年は覗き込んでいた円堂の顔を初めはぼうっと見ていたが、意識が完全に覚醒すると慌てて跳ね起き誰だお前ここは何処だの質問ぜめである。とりあえず円堂は名前を名乗りここは稲妻町だと答えると青年は稲妻町と首を傾げた。稲妻町、稲妻町…と何度も声に出しはてそんな町あったかと首を傾げていたのだ。
そんな青年を前に円堂はとりあえず名前を教えてほしいと言うのだった。

「あー、わりぃ。聞きっぱなしだったな。オレは遊城十代、まぁなんだ一応歳は18」
「そっか、よろしくな十代!ところでこの人たち知り合い?」

円堂は十代の後ろを指した。十代が振り向くとそこには3人が倒れたままだった。よくよく見ると十代の知り合いが倒れており、それに気がついた彼はあー!と叫び声をあげ彼らを揺さぶり始めた。揺さぶるとすぐに3色の奇抜髪型の青年が目を覚まし、次いで黒髪に金メッシュの入った(円堂いわく)蟹頭の青年が目を覚ました。

「よかったー、気がついたんですね遊戯さん!遊星も大丈夫か?」
「じゅ、だい……?」
「……何処ですかここ。ついでにあんた誰だ?」

やっぱりかーと言いながら十代はそれぞれ遊戯、遊星と呼んだ青年に、目の前の少年は円堂守でここは稲妻町であると説明したのだった。

「稲妻町?知ってるか遊星?」
「いえ…オレは…」
「えっと、遊戯と遊星…だよな?十代と知り合いだったんだな」
「まぁ、な。いろいろあって…」

しばらく取り留めない話をしていると後ろからいてて…と声が発せられた。なんだとそちらをみるとこれまた奇抜な髪型の少年が目を覚ましていたのだ。やっべ忘れてたと十代の顔に汗が流れた。遊戯と遊星は顔を見合わせ、円堂は知ってんのかと問うた。だが遊戯も十代も遊星も首を振り誰だこいつの状態である。すると今度は少年があーっと声をあげ遊戯たちにいきなり人間砲弾のごとく突撃してきた。いきなりであったためまともに喰らった遊戯はぐえっと情けない悲鳴をあげて後ろに倒れこんでしまった。

「すっげぇ!デュエルキングの武藤遊戯だ!つか、遊城十代も不動遊星もいるー!なにこれ、オレ天国にでもいんの!?」

ここまで息つぎなし。言いたいことを言い切ると目をきらきらと輝かせた。ちなみに少年は遊戯に馬乗りの状態で、乗られている遊戯は若干苦しそうである。

「おま、え…遊戯さんから離れろォォォォォォォォ!」

我にかえった十代は少年を遊戯から引っぱがすために肩を掴んだ。肩を掴まれバランスを崩した少年はうわっと短い悲鳴をあげて今度は十代にダイレクトアタックを決めた。ちょうど鳩尾に頭が当たりぐえと悲鳴をあげて十代は少年もろとも地面とお友達になった。その音に遊星と円堂もようやく我にかえり遊戯、十代、少年を立たせるのだった。

「えっと、君は…」
「あ、オレ名前言ってなかった?オレ、九十九遊馬。中学1年!」
「へぇ、オレのいっこ下か。オレは円堂守。よろしくな、遊馬」

年が近いせいかすぐに遊馬と円堂は打ち解けた。一方の年長組はとりあえず現在の状況を整理し始めていた。

「やっぱり何らかの原因で異世界に来たとしか…」
「つか、どうやって帰るよ?」
「さぁ…?」
「だよなぁ…ユベルも反応しないから力使えないし」
「オレも赤き龍の力使えないです」
「…相棒とチェンジ出来るけど、千年パズルの力までは…」

あーでもないこーでもないと話合っているとひょこっと円堂と遊馬が顔を覗かせた。そしてにっと笑ってこう言ったのだ。

「「サッカーやろうぜ!!」」


******


「元気だな、あいつら」
「でも円堂の家に泊めてもらえるだけでもよしとしません?」
「だな…」

楽しそうな声を聞きながら遊戯と遊星はこれからのことをまた考え始めるのだった。


超次元なら超融合しても問題ない

(どうやって帰るんだ?)
(さぁ…でも十代さんたち楽しそうですね)
(だな…)


[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -