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その人は不思議な人だった。
赤い服を着て、背中に背負った鞄に猫を入れて連れ歩いてる人。
「なぁ、この辺りに泊まれそうなとこないか?」
「…泊まれるとこ…」
にかっと笑っていたが、何だか寂しそうな笑い方が印象的だった。アストラルはアストラルで何かを感じてるらしかった。
「今の時間だと…多分ほとんどのとこ満員だと思うけど」
「げ、マジ?」
困ったなー、なんて言ってるこの人をほっておけなかった。
「あのっ!よかったらオレの家に来ませんか!?」
これがオレと、アストラルが見えるという十代さんとの出会いだった。
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