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「簡単に言っちゃえば、遊戯さんの本当の名前はアテムで、遊戯さんと別れて転生しようとしたら何故か遊星んとこに来ちゃったと言うことですね!」

子供っぽく笑い話の内容をまとめて十代さんはお茶を啜った。なんというか……適応能力がすごいと思う、この人。ダークシグナーやイリアステル、ゾーンの一件を経験したオレ(ふたりに比べたらマシだが)やジャック、クロウですら混乱したのに。それよりも気になることがひとつ。

「…十代さん、全然変わってませんね、過去に行った時と」

そう。十代さんは全然見た目が変わっていなかった。あの時の記憶のまま、大人みたいなところもあるけどやっぱり子供っぽさが目立つ彼。

「あぁ…そりゃあん時から時間あんま経ってないし…オレ、時間止まってるから」
「時間が、止まってる?」
「ようするに不老不死か?」
「まあそんなとこです」

かなり普通に、あえてもう一度言おう、当たり前のようにかなり重大なことを言ってのけた。目の前の彼は。不老不死?今なら考えられない錬金術とかそういう類いのものなら考えられるが……

「あん時、街の人を避難させる時に精霊の力借りるって言っただろ?普通は実体化出来ないんだけどオレはユベルと融合しているから実体化させられる」

十代さんの言ってることは信じられないことだが、昔アキが持っていたサイコ能力みたいなものらしい。それなら納得できる。

「まあなんだ、それの影響でオレ自身も精霊に近くなったみたいでな、それで見た目とか全然変わんねえんだ」

まだ納得出来ていない部分もあるが十代さんが嘘をついてるようには見えない。アテムさんはアテムさんで十代…お前も苦労したんだな、と肩を叩いている。この人も適応能力が異常に高いだろ…と言ったのは心の内だけにしておく。

「…とりあえずバイク直しますね」
「あ…直してもらうのはいいけど…オレほとんど一文無しに等しいんだった…」
「十代、気にするな。オレが変わりに払うから。再会したことも何かの縁だし」
「そういうわけにはいかないですよ、ゆ…アテムさん!遊星!!直してもらう代わりにオレもここで働く!!……住むとこねぇからここに居候しながらだけど…」

なんて言った目の前のこの人は。働く?ここで??居候???ジャックとクロウになんて言ったらいいんだ…ジャックはもうしばらくしたら武者修業に行くとか言ってたけど。クロウもセキュリティに勤めたいなんて言ってたけど。一時期とはいえ、このガレージに5人が住むことになるのか!?

「ゆ、遊星…大丈夫か?」

どうする、どう対処したらいい?部屋数が足りない、食費が増えるしジャックはうるさい。だけど十代さんの知り合いがこの時代にいるとも限らない、しかもほぼ一文無し……いちばん騒ぐジャックを黙らせるしかない、物理的に。スパナを投げて後はリアルファイトだ。クロウは……何とか丸め込もう。イェーガーには十代さんのIDを即刻用意させよう。あぁ十代さんはデュエルが好きだからデュエルアカデミアの臨時教員の職を奨めよう、但し実技教員。

「十代さん…」
「ゆ、遊星ぇ…?」
「今すぐに全部用意しますね?それから修理屋より十代さんにピッタリの職があるので紹介します。多分すぐに採用されるしうるさい奴は黙らせるので安心して下さいね?あぁ、あと家賃の5000円と食費5000円さえ入れてくれればいいので。アテムさんはオレの部屋に移動です。いいですね?」
「「は、はい……」」

((何だか知らないけど、遊星が怖いぜ!))

こうしてまたひとり、ポッポタイムのガレージに住人が増えた。
ジャック?もちろん黙らせた、スパナを投げてからのリアルファイトで。


End


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