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朝起きたらあるものがなくて、ないものがあった。

「「なんだこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」
「アテムさん、十代さん。鼓膜破れそうです」
「ゆ、ゆゆゆゆゆ遊星!なんで落ち着いていられる!?」
「結構驚いてます」
「全く顔に出てないぜ?」
「そうですか」

なんだかんだいいながら時々遊びにくる十代や遊星とお泊り会in武藤家をしていたある日のこと。
朝から絶叫が響き、当事者である3人の身体が何がどうなっているのか青年のものから女性のものになっていた。ちなみに絶叫し動揺が激しいのはアテムと十代、遊星はそれなりに冷静でいた。

「うぅ…なんで女の身体になってるんだ?」
「さぁ?それはオレにもわかりません」
「………」

うーむと考え込み黙るアテムだったが、ふと視線はふたりの豊満な胸に向いていた。で、自分のと見比べる。少しだけ膨らんでいる胸。なのにふたりは豊満。ちょっと悔しかった。

「……なんか不公平だぜ」

小さく、本当に小さな声で言ったはずなのに。いつの間にか目の前に十代がいて、にんまり笑っていた。遊星はわかりにくいが微笑んでいた。警鐘がなる。でも、逃げられない。本能がそう感じとっていた。

「アーテムさん。そんなにちっちゃいのが嫌ですか?」
「え、いや…そんな、わけじゃなくて……ちょっと不公平、だなって…」

アテムは感じとっていた。十代の笑顔が黒いことを。というかますます墓穴を掘ったような気がすると。そして警鐘が鳴り止まない。

「遊星」
「何ですか?十代さん」
「アテムさんを押さえてろ」
「はい」
「え?」

遊星にがっちりと後ろからホールドされたアテムは何がなんだかわからなくなっていた。目の前には(黒く)笑う十代。後ろには微笑んだままの遊星(若干黒い)ついでに遊星の豊満な胸が当たっている。

「アテムさんかわいいから、オレちょっといたずらしたくなっちゃいました」
「なあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「あは、ちっちゃくてかわいい」
「な、なにするんだ十代…ッ!?」

十代は自身の手をアテムの胸へと当て、ゆっくりと揉みだした。突然のことに驚くアテムだったが次第に十代の手の動きに流され始めた。

「あ、ゃだ…ッ」
「うわぁ…やわらけぇ。気持ちいい」
「十代さん、」
「ちっちゃいけど形もいいなぁ…」
「ふ、あ、あん…やだぁ…」
「……アテムさん、泣いてますよ」
「へ?」

顔を上げると、頬をこれでもかと言うくらい真っ赤に染め涙を流しているアテムの姿があった。

「うわわ…アテムさん、そんなに泣くほどよかったですか!?」
「ち、ちが…ッ」
「アテムさん、やだやだ言ってたんですよ?よかったわけないじゃないですか」
「そ、そうか……って、遊星!お前も共犯じゃん!!」

しれっとして全責任を十代に押し付けた遊星に、十代は殴ってやろうかと考えた。しかし、遊星はデュエルだけでなく俗にいうリアルファイトも強いことを思い出し、踏み止まる。後でやり返されるのは嫌だっただけである。

「でも、アテムさんの泣き顔かわいいです」
「ふぇ……んッ!?」
「なあぁぁぁぁぁぁ!?」

アテムの顔に手を添え後ろを向かせたと思ったら、遊星は自身の唇をアテムのと合わせた。突然のことにアテムは驚き、十代は絶叫した。

「ん…アテムさん、ごちそうさま」




「ちょ、なにしてんだよ遊星ぇぇぇぇぇぇ!」
「十代さん、人のこと言えませんよ?」
(ちゅー、された……ゆうせいに…)


End


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