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「3日間、講師をすることになった不動遊星だ。隣にいるのはオレを手伝ってくれる…アテムさんだ」
「なぁ遊星、オレ手伝う為に連れて来られたの?」
「ちょっと黙っててください」

連れて来る前に、ちょっと手伝ってくださいって頼んだはずなんだが……忘れてる。あれか、さっきの模擬デュエル見てぶっ飛んだんだな。

「なぁなぁ遊星?今日何するの?」
「そうだな…本当は座って簡単にいろいろ話そうと思ってたが…この人がデュエルしたくて堪らないらしいから、模擬デュエルに変更する」

それを聞いた瞬間、龍亞たちデュエルアカデミアの生徒たちとアテムさんの目が輝きだした。アテムさん、あなたどれだけデュエルしたいんですか?授業って言いましたよね?模擬デュエルだから授業の一環で行えるけど、普通の授業だったら絶対さっきの所に戻ってたはずだ……それだけは避けなければならない。迷子探しはめんどくさい。

「じゃあ、オレいちばん最初!」
「もう…龍亞ったら…」
「龍亞、落ち着け。順番でやるから…」
「えー!」
「しかも時間が限られているからな。1対2の変則ルールでアテムさんとデュエルしてもらおう」
「ちょ、遊星!?」
「…あなたなら大丈夫ですよ。これが終わったらちゃんとライディングデュエルの特訓付き合いますから」

耳元でこっそりと言ったら一瞬だけ顔を赤く染めたが、ライディングデュエルの為だと生徒たちに向かい合っていた。



「遊星!終わったから特訓だ!」
「……龍亞たちが終わるまで待っててください。それから、ライディングデュエル用のデッキを組んでください。もちろんシンクロモンスターも入れて」

また、うーと唸り睨んできたが何か文句でもありますか?と言ったら、べ、別にないぜ!と返され、そのままデッキ構築を始めた。
しばらくすると授業が終わった龍亞と龍可が現れた。

「お待たせ、遊星」
「デュエルしてくれるんだろ?」
「あぁ…だがオレじゃあない、彼だ。彼は伝説のデュエリストのプレイングが得意だ。何度やっても勉強になる」
「伝説のデュエリスト…?」

オレは授業で見た話などを織り交ぜながら、アテムさんのプレイングについてふたりに話した。

「そういえば…伝説のデュエリスト、武藤遊戯さんのにプレイングに似てるとは思ったけど……」
「遊星ー!デッキ組んだぜ!早速特訓だ!」

そう言うとアテムさんはデュエルボードの準備を始めた。苦笑いしながら、龍亞に相手してくれと頼んだ。龍亞は笑顔で了承し、ハイウェイでのライディングデュエルが始まった。残されたオレと龍可はボルガニック遊星号のモニターを使いデュエルを見守ることにした。



「翻弄するエルフの剣士にアームズエイドを装備して、龍亞にダイレクトアタックッ!」
「う、わぁあァァァァッ!」

デュエルはアテムさんが多彩なプレイングを披露し、龍亞を下した。もちろん無理して組み込ませたシンクロモンスターを召喚して。

「よしっ!オレの勝ちだな」
「うー!悔しい!もう一度…」
「アテムさん」

龍可を連れてふたりのもとに駆け寄った。少しではあるが、龍可も興奮しているようだった。

「……見ていた限り、D・ホイールでのデュエルをしても大丈夫だと思います。とりあえず合格です」
「え、アテムさん、ライディングデュエルするんですか!?」
「アテムさんはまだライセンスを取ってないから…だが、これなら一度で取れる」

どこか安心し、ライセンス取得には問題ないだろうとアテムさんに告げた。それを聞いた彼は、目を輝かせて喜んでいた。
そして1ヶ月後。学科をパスし実技試験ではスピードワールド2の効果やシンクロモンスター、普段のプレイングを試験官であった牛尾に見せつけた。結果、一発でライセンスを取得し、晴れてDホイーラーとなったアテムさんは大喜びした。

ちなみに牛尾は、この日から1週間仕事を休んだらしい。


End


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