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「遊戯さん、コーヒーですけど……どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
「遊星ー、なんでお前遊戯さんと知り合いなんだよー」

温かいコーヒーを入れて戻ってきた遊星は、それを遊戯に渡し自分はミネラルウォーターを飲んでいた。そんな様子を見ておりジャックからだいたいのことを聞いたクロウは最も疑問に思っていることをぶつけた。

「あぁ…前にスターダストを奪われたことがあっただろう。その時に一緒に戦ったんだ。もうひとりいたが……」
「なるほどね。それじゃ知り合いになっててもおかしくないか」
「というか、疑問点はそこではないだろう!」

ほのぼのと会話していた遊星とクロウに痺れを切らしたジャックが大きな声を上げた。遊戯はびくっと反応し、遊星とクロウはなんだという風に視線を送った。

「何故、こいつがこの時代にいるかが重要だろう!姿が全く変わっていないのはおかしいだろ!」

そういえばと、遊星とクロウは思った。遊戯が活躍した時代は数十年前。ならば今は更年期近くになっていてもおかしくはない。ならば今いる遊戯の姿は考えられる年齢とはおかしいのだ。

「んー…そうだな…結論言っちゃうと、転生する前に間違って来ちゃったんだぜ!」

あまりにもありえない話。転生?何言ってんだこいつ状態である。遊星は何となく事情を知っているため何も言わなかったが、ジャックとクロウはどういうこっちゃと唸り声を上げているだけだった。

「…何となく、事情はわかりました。それで、遊戯さんとは…」
「あぁ、相棒は大丈夫だ。きっとオレがいなくても大丈夫」

にっと笑う姿は、デュエルの最中に見せる不敵な笑みとは違った、歳相応の笑みだった。

「……遊戯さん、本当の名前、教えてください。区別、したいんです」
「別に、今までのように遊戯でいいんだけど…」
「オレが嫌なんです。あなたと遊戯さんは違う」

真剣な眼差しを遊戯に向けた。目を見開いて呆然としていた彼は、しばらくすると急に顔を赤らめ遊星に本当の名を告げた。

「……アテムだ。遊星、お前は全く変わらないな……こっちが言われて恥ずかしい」
「あなたも変わってない。あの時のまま、強くて優しい」

なんとなく、だが、遊星と遊戯…じゃなくてアテムの周りの空気がピンクというかゲロ甘になり始めたころ、唸っていたジャックがこの空気に気がつき、またもや叫び声をあげた。

「なにいちゃついてんだ、貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

ついでにげんこつを喰らわせた。

「「〜〜〜〜ッ!」」
「楽しそうだなぁ…え?」
「ジャック、痛い…」
「うぅ…城之内くんに殴られたときより痛いぜ……」
「アテムさん、大丈夫ですか?」
「…一応」

アテムはげんこつを受けたところを摩りながら涙目になっていた。遊星はとりあえずと思い、頭を撫でていた。

(……こいつら、カップルか?)
「アテムさん、こんな時になんですけど……これから、どうするんですか?」
「んん…?」
「そういえばそうだな。クロウ、いつまで唸っているんだ!!」
「あで!?」

そう、現実的な問題。
アテムが戻れるまでどうするかである。とにかくアテムは過去の人で、冥界から間違って来た(本人談)のである。なんとかして戸籍やらなんやらしなければ、今後の生活に影響してしまうのだ。

「仕方ない、イェーガーの所に行って申請してもらうか」
「?」
「アテムさん、ちょっと一緒に来て下さい」

その後、イェーガーを丸め込み戸籍を取得したアテムは、しばらくの間ポッポタイムにお世話になることになった。ちなみに、遊星とアテムはわずか2日でカップルになり、ところ構わず幸せオーラをぶちまけるようになる。ジャックとクロウはそのオーラに慣れるまでうんざりしていたという。


End


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