『留ー!』


「! 名前か、どうしたんだ? こんなとこ昇ってきたら危ないだろ」


『おにぎり作ってきたの。 下に喜三太たちもいるし、休憩にしない?』


「ん、そうだな」



昼下がり。
私は用具委員会に差し入れとしておにぎりを持ってきた。

今回はどうやら七松くんのいけどんアタックにより破損した屋根を、皆で直していたみたいだ。
というかアタックで屋根壊すってすごい力だなぁ。


用具委員会のおかげで大半が直ってきているのだが、あちらこちら傷痕がすごい。

特にひどいところを留が時間をかけて直してたみたいだ。



なんて感動していたら、誰かが私の服を引っ張る感じが。

誰だろ?

下からの力に何となく誰なのか予想がつく。



「名前せんぱ〜い、早く食べましょうよ。 僕お腹減りました〜」


『うん、ごめんごめん。 じゃぁ食べよっか、しんべえくん』


「先輩のおにぎりおいしそう!」


「早く食べたーいっ」


『喜三太くんも、平太くんも、はいどうぞ』



可愛い後輩たちだ。


残念ながら私は委員会に所属していない。
たぶん学園でいったらあまり後輩とは親しくないほうだと思う。

でも留に会いに来る私に懐いてしまったのか、今ではすっかり仲良し。


皆可愛いから甘やかしてしまう。



『はいっ作兵衛もお疲れ様!』


「ぁ、ありがとうございます」


作兵衛はしっかり者で留をちゃんとサポートしてくれる。

1年生の扱いも留よりうまそう。


こんなこと言ったら怒られるかな。



「名前」


『ん?』


「俺にも一つくれよ」


『あっごめんごめん! …はいどうぞ』



受け取ったおにぎりをしみじみと見る留。


何?


私がおにぎり渡すの遅かったから怒ってるのかな?
それとも見た目がよくないとか…?

いやでも見た目は普通だし。



「……お前って家庭的だよなー」


『ふふっ、何それ! おにぎりに不満があるのかと思ったよ』



予想は外れて、なかなか嬉しいことを留は言ってくれた。

後輩たちがいる前だけに、ちょっと照れ臭いけど。

でもにこにこと「おいしい!」と言ってくれる後輩たちの声も合わさって、とっても気分がよかった。


けど、





「お前の夫になるやつは幸せなんだろうな」





『…っ!』



いきなり爆弾発言をした。

そして本人が無自覚というまさかの展開だ…!


もう私はいきなりのことで顔が赤くなってしまい(後輩がいるのに!)、顔を見れなくなった。


しーーんと静まる空気に、留だけが残されている。



「食満先輩、イチャイチャなら委員会後でお願いします」


「あ? イチャ……っ!」



気づいたみたいだ。



私のほうが恥ずかしいんだからね!

もう、さらっとこういうセリフ言うんだから。
私にも甘いセリフがさらっと言えればいいのにな…。


ってダメダメ!

今は二人きりじゃないんだから!



「でもぉ、名前先輩が用具に入ったら、僕たち家族になれますよね〜」


「先輩委員会入ってないんですよね?」


「じゃぁ、用具委員になっちゃいましょうよ!」


「こっこら、お前たち!」



1年生たちのいきなりな提案に、作兵衛が注意した。

でも、確かに家族みたいだと思う。


しんべえ、喜三太、平太は可愛い弟
それを統括するお兄ちゃんな作兵衛


そして留はお父さんで私がお母さん



『いいかも』


「ちょ、名前?!」




『私用具のお母さんになる!』










(おいおい、待ってくれ…)
(まだプロポーズしてねぇのに!)




100925

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食満どんまいw