いきなりですが、私の彼氏鉢屋三郎はとてもモテる男です。 つまりそれは今日みたいな乙女の日、彼はいろんなくのたまの子に引っ張り凧なわけで。 彼女は私なんですよ…？ なのにどうして私は彼に何も渡せずにいるんでしょうか。 彼は悪くない、悪くないと思っても、やっぱりどこかで恨んでしまいます。 『はぁ…』 このチョコどうしましょうか。 せっかく時間をかけて作ったのに…きっと三郎に会う前に溶けてしまいますよ。 そもそも皆わかってないんです！ 彼は甘いものが好きなようで実は嫌いなんですから。 だから愛の込もった甘い甘〜いチョコは、いつも同室の雷蔵くんに押し付けてるって。 貴女知ってました？ ふふ、これは彼から聞いたんですもの。 知っているのは私といつもチョコを押し付けられる雷蔵くんだけです。嬉しいです。 でも、でも…。 『やっぱり彼女として…不安になるじゃないですか』 …ただの私の嫉妬です。 付き合いを公言していないからこうなるんだよ、と前に勘ちゃんに言われたのだけど。 三郎モテるんですよ！ 私と付き合ってるのが他のくのたまにバレたら、私どうなっちゃうことか！ なんだか悲しくなってきました。 自室で三郎と待ち合わせしたのにまだ来る気配ないですし…。 確かにいつも私のチョコ食べてくれるけれど、それは単に甘くないからだけなのかもしれない。 『自分で処理しちゃおう…』 「はいはい、名前ちゃん何してんのかなー」 『え、あ、さっ三郎？！』 「おう」 気配がないから全然気づきませんでした…！ 彼はしたり顔でにやにやと私の顔を覗き込む（ううう…かっこいいです）。 三郎がすぐに来てくれないのが悪いんですよ…？ 私がチョコよりも時間をかけた包装もビリビリに破いてしまいました。 「それ私宛てのチョコだろ。何食べようとしてんだよ」 『…だって』 三郎の手にはいっぱいチョコがあるじゃないですか。 わかってますよ。 全部貴方が食べないことくらい。 でも嫉妬しちゃうんです…。 『え、…っ？！』 「おいしい？まぁ名前が作ったチョコだし、うまいに決まってるけど」 『に、苦いよ』 「私用に苦くしてくれたから、だろ。」 いきなり三郎は私が作ったチョコを私に食べさせた。 まぁ食べようとはしてたんですけど、何故本人の前で私が食べてるんですか…！ え、え。どういう、 …というか苦いです。 私は三郎と違って甘党派なんですよ！ 「はい、いただきまーす」 『何言って、ん…っ、ふ、』 「名前…っはぁ、すごいうまいなこれ」 『なななななななっ///何で接吻するんですかあああ！』 「あと5つチョコあるからまだあと5回楽しめるぞ」 『無理、無理です！//心臓が持ちませんか……んっ///』 このあと私は三郎にチョコと一緒においしく食べられるのでした。 って、いや、嬉しいけど…！ 嬉しいけどなんか違うような…！！/// 数なんて大切じゃない （嫉妬してくれたんだろ） （大丈夫） （私はお前のチョコだけが欲しいんだ） 110211 …………………… 三郎はプレイボーイなのでいっぱいチョコもらってそうですね。 |