※男主です





「名前ー!」


『ん、あ、勘ちゃん。そんなに走って来なくても僕は逃げないよ、ゆっくりおいで』


「えへへ…名前ありがとう」



今日は休日。
僕は暇だったのでいつも通り散歩をしていた。
まぁやらなくちゃいけない課題とかあったんだけど、それは同室の彼に助けてもらえばいいかなって思ってね。

いい天気だし彼が戻ってくるまでお散歩。

それにしても朝から同室の彼を見かけてないなぁ、どうしたんだろう。
そう思ってたら、隣の組の勘ちゃんと中庭で遭遇した。


んーそれにしても勘ちゃんはいつも通り髪が摩訶不思議だよね。
そこが可愛いなと思うのだけど。



「これ、はいっ名前にあげる!」


『? 何これ?』


「今日はバレンタインって言ってね、好きな」


『それは知ってるよー』



勘ちゃんは僕に小さな小包を渡してきた。
ああ、今日はそういえばバレンタインだったね。

そこまではわかるんだけど(だってさっきくのたまの子から貰ったからね)、何で勘ちゃんが僕に…?



『女の子が好きな男の子にチョコを渡すんじゃ…?』


「ふふ、確かにそれが普通だけど、今年は逆チョコっていうのが流行ってるんだってー」


『えっそうなんだ…』



いや、待ってそれにしても僕男なんだけどな。



「まぁ好きな人にチョコを渡すって日なんだし、俺が名前にチョコ渡してもいいでしょ?」


『そう…だね、勘ちゃんありがとう!』


「ううんっいいのいいのー俺名前のこと好きだもん」



勘ちゃんは優しいし、可愛いから僕も好きだ。
こうやってチョコを貰えてすごい嬉しい。
だってこれ勘ちゃんの手作りでしょ?



『僕も勘ちゃんが好きだよ』


「違うよ、名前。名前の好きと俺の好きは違うの。名前、俺ね、」


『!!』



ぐいっ


急に勘ちゃんに腕を引っ張られた。
僕の重心が前にずれてそのまま勘ちゃんに抱き着く形に(わわわ、か、勘ちゃん…!)。

あれ。


顔を上げたら勘ちゃんが勘ちゃんじゃなかった。
何だろう、いつもはにこにこなのに、今はにやにやって言うのかな…?

ちょっと怖い、よ。



「名前、俺お前のことあいし


「何してんだよ勘右衛門」


『は、はっちゃん?!』



ん?!

気がついたら僕はいきなりやってきたはっちゃんの腕の中にいた。
ちょっと、さっきから僕のこと物みたいに扱わないでよね!

しかも空気が重いよ。

なんでなんで?
この二人左右コンビって言われて、仲よかったはずなのに。



「名前行くぞ」


『え、あ、ちょっと!』


「あ〜あ、残念。またね名前」










『はっちゃーん、何で怒ってるのー』


「勘右衛門には気をつけろって言っただろ」


『うん?』



はっちゃんは僕の同室の相方さん。
そんでもって、僕の大切な大切な恋人さんです。

いきなり部屋に連れて来られたかと思ったら、はっちゃんは後ろから抱き着いてきた。
ちょっと重いんだけどな。

あ、そうだ。課題課題。
はっちゃんに頼もうと思ってたんだよ。



「課題はあとでやってやるからさ………名前、これ」


『わあっ可愛いお花!』


「俺料理とかてんで駄目だけどー…今日って好きなやつに何か贈る日だろ?だから…っ」


『もしかして、朝から探しに行ってくれてたの…?』



だめだめだめー!

こっこんなの反則だ…!

勘ちゃんの贈り物も嬉しかったけど、顔を真っ赤にさせたはっちゃんがとってもとっても愛しい。
あ、もしかしてさっき怒ってたのも嫉妬…してくれた、から?

はっちゃん…。



『はっちゃん』


「ん、なんだよ名前」


『好きっ好きっ大好きー!』


「! 名前、俺は」


『そうだね、ごめん……はっちゃん、僕はっちゃんのこと愛してるよ!』










(好きと愛してるの違い、)
(ようやくわかったよ)
(愛してる、はっちゃん)









110221

……………………
左右でまとめちゃってすみません…!orz
結局はハチ落ち夢でした。