その1
ここには人間でないものも通う学園。 中にはエルフ、精霊族、神族、天空人、翼有人なんてものまでいたりとか。 「おはよう!」 学園に入るなり、すれ違った人物と挨拶を交わす。 歩いていて見つけたのは、同じクラスでもある銀髪で蒼い瞳をした少年カイン。 シエラは驚かそうと軽く背中を叩いて元気よく挨拶をする。 「おはよー、カイン!」 「ああ、おはよう」 だが、カインは驚くことなく、振り向いて素っ気なく返事をした。 それが気に入らないのか、少しムッとするものの、直ぐにねえねえと話し掛けてみる。 「カイン、昨日のチョコレートどうだった?」 カインは、昨日シエラから貰ったチョコレートの話題になると、眉を潜めた。 美味しい不味いよりもその前に気になることがあるからだ。 「・・・甘かったな。あれは甘すぎだろ、味見はしてみたのか?」 「したわよ・・。ほら、私は甘い物が好きだから・・・」 「自分の好みか」 味見はしたのかと聞かれて答えれば、ズキリと胸が痛くなることを言われて、シエラは落ち込んでしまう。 落ち込んでいると、横を通りすぎる時に誰かが声を掛けてきた。 「おはよう。シエラ、カイン」 声を掛けてきた人物はクロードだった。 クロードは12歳ながらも白魔術に関しては中高生には負けたりしないのだ。 それは、彼の努力と・・・天空人ということもある。 「おはよう、クロード」 シエラが挨拶を返すと、クロードは足早に教室に向かって歩いて行ってしまうのだった。 カインと二人になったシエラは緊張してしまうのだった。学園にいる時は二人でいることは多いが、いつも緊張してしまっていたりする。 それは、純粋な少女が淡い恋心を抱く気持ちと同じであった。 「お前は二人になると黙ることが多いな。と言ってもよく喋ることもあるが」 「え、そ、そう?その・・・なんていうか・・・」 シエラはカインからの言葉に返事をしようとするが、喋ろうとして黙ってしまう。 暫く黙っていたが、口を開こうとした時・・・小さな少女に声をかけれたのだった。 ▽ prev / next [back] |