暗緑の灯火 | ナノ
暗緑の灯火



愛情と友情の並列



「ユーリ、昔みたいに、一緒に寝てもいいか?」

皆が宿に入って行く途中、ラナはユーリを呼び止めた。

「ん?」

「や、ベッドが二つ足りないんだ。クライヴは多分今日は戻らないからいいんだけど、どのみち一つ足りないから……」

「添い寝してくれってか?」

ニヤリと笑ったユーリに、彼女は嫌ならレイヴンと寝る、と上目遣い。

「なんでおっさんなんだよ、そこは他にも居るだろ…」

「いいの?ダメなの?」

「………いいぜ、でも…」

ユーリは少しだけ考えて、ラナを引き寄せると



「欲情すんなよ」



と耳元で囁いた。

「ちょっ……!」

思わずジュンと脈打ったラナのアソコ。
期待しすぎな感情に、彼女は小さくため息をついた。




「ほら」

ユーリは1番手前のベッドに寝転び一人分スペースを開けるとポンポン、とそこを叩いた。

「ん」

シャワーを浴びたばかりのラナの髪はまた濡れていて、頬も上気している。
自然に隣に寝転ぶと、彼女はシーツをかぶった。

「え、やだ、なに、青年おっぱじめないでよ?」

レイヴンはにやーっと笑って、隣のベッドに入る。

「期待してても、なんにもねえぞ」

ユーリはやらしい笑みを返して、そう言った。

「あ、ユーリが子供の頃いつも一緒に寝てた女の子って、ラナのことなんですね」

「へーそんな話するんだ」

リタは意外にもユーリの過去の話に珍しそうに食いついた。



「ナン〜」



カロルの寝言に、全員が固まる。

「この子、いつもこうよね。隣に居ると騒がしいわ」

ジュディスは頬に手を添えて首を傾げた。

「勘弁してやってよ、ささ、電気消すわよ〜」

レイヴンは魔導器のスイッチに手を伸ばす。

「おやすみなさい」

エステルがベッドに潜り込んだのを確認して、彼は照明を切った。

満月が過ぎたばかりの月明かりが、少しだけ部屋を照らすだけの夜闇が包む。



活気ある街の喧騒も、すっかり静まり返って、いい夜だ。


小一時間もたたない内に皆の寝息が聞こえはじめ、時折レイヴンのいびきが静寂を邪魔する。
それでも眠りにつけないラナは、そっとユーリに寄り添った。

何も言わずに腕を回してきた彼に甘えるように、それをまくらにした彼女。


こうして眠るのは何年かぶりで、子供の頃を思い出す。


親のいない2人は、眠れないとしょっちゅうこうして寄り添っていた。
時々フレンが遊びにきたりもして、子供の頃、夜はちょっとした楽しみでもあったのだ。

抱かれるような女になっても、幼馴染でいられる事は嬉しかった。

もちろん、それに甘え過ぎていてはいけないのだが。



寝入っていたと思ったユーリだったが、少しだけ身じろぎしたので、彼もまだ起きているようだ。

ラナはちょっとしたイタズラ心が湧いてきて、すっと彼の胸元に手を入れてみる。
乳首を探り当てると、軽くくすぐるように弄り始める。

彼がピクッと身体を強張らせたので、彼女はさらにぐりぐりと触りはじめた。

「おい……」

耳元で、吐息のように囁かれるユーリの声。
ペロリと彼の舌が耳たぶを這い、ふっと息をかけるので、彼女もわずかに身をよじった。


ラナが乳首を弄ぶのをやめないので、ユーリは腕枕をしている右手で身体を引き寄せ、そのまま唇を重ねた。

舌を滑り込ませれば、彼女もそれに絡んできて、少し熱っぽい息を吐く。

乳首を弄んでいた彼女の手は、いつのまにかズボンを押し上げ膨れ上がったユーリのソコを撫で始める。

いけないと思いつつも、それはさらに質量を増して、存在を主張する。
シーツが擦れる音が、やけに大きい。

ラナは帯を解いて、ズボンの中に手を滑り込ませた。
すでに零れはじめていた先走りが、指に絡みつく。



2人の舌も次第に激しく絡み合う。

混じる唾液を飲み込みながら、音を立てないように口付け合うのも、興奮をさらに掻き立てるのだ。

ユーリはラナの裸同然の背中をいやらしく撫で、首筋を舐めた。

ビクッと身体を硬くするたび、2人は汗をかいていくので、2人のベッドだけ、湿気が上がるような気がする。

ラナの上下に動く手をズボンから引き抜いて、ユーリは彼女の身体を向こうに向かせた。

そしてすぐに抱き寄せて、密着すると、今度は彼女のビキニに手を滑り込ませ、揉みしだく。


先端をこねながら、左手は股の間へと伸びる。


ヘソを這い、直接下着の中へ滑り込ませた指で確かめれば、そこはしっかりと潤っていた。
入り口を軽く撫でて、クリトリスを濡らしながら、優しく擦る。

気持ちがいいのか、ラナはぎゅっとユーリの腕を掴む。

膨れ上がってきたクリトリスを弄ぶのをやめ、ユーリは中へ指を這わせた。


軽く指を出し入れするだけで、ラナは呼吸を詰まらせる。

「シーッ」

ユーリはまた耳元で囁いて、指を激しく動かした。


手前の方を押し込めば、ラナはぎゅうぎゅうと腕を掴んでくる。

気持ちいいのだろう。

声を出せないのも、皆がいる背徳感も、余計に欲情させ、快感を誘う。

ユーリは少し迷ったが、ぐっしょりと湿ってしまったラナの下着を少しだけ下ろし、自分もズボンから大きくなったモノを出すと、彼女の腰を反らせて、中へと押し込んだ。

「はぁっ……」

挿入の快感にラナからは思わず息が漏れる。


ユーリはゆっくりと腰を動かす。


薄いシーツの中で起きるその行為は、興奮をどこまでも掻き立てた。

もう彼女を抱くまい、と思っていたユーリの意志はこうもあっさりと崩れ去り、今や彼女の中を侵している。

不思議と後悔はない。

ラナを避ける事の方が、不自然だから当然なのかもしれない。
所詮人間、弱いものだ。



ラナは声を出したくなる衝動を抑え、身体を貫く快感に、さらに感じていた。

ユーリのソレはいつもより硬く、彼女の腰を持つ彼の手も、汗ばんでいる。
興奮しているのが手に取るようにわかる。

(気持ちいい……)

ラナはぎゅっと枕の端を握った。

(……つーかどうしよう、イきてえ…けど、さすがに……)

ユーリは後始末も、もう少し激しく腰を振りたいことにも満足いかず、眉を寄せる。

(悪い、ラナ…)

ユーリは少し強めにラナを突き上げた。

「んっ……」

ラナはぎゅっと口を結ぶ。


向こうでカロルが寝言を言った気がした。
レイヴンのいびきは安定して聞こえている。



誰も起きてはいない、多分。


ユーリは1番奥で、果てた。
ドクドクと脈打つので、ラナも出された事に気付き、驚きに振り返る。

「悪い、どうする?」

小声で謝るユーリだが、どうする事もできない。

「………」

ラナは抗議の目で彼を睨むと、自分の股に手を添えて、ゆっくりとまだ大きいユーリのソレを引き抜いた。
そのまま押さえて、自然にトイレに立ったのだった。




翌朝、ラナはユーリの腕の中で眠っていて、彼の胸に顔を埋めたまま、起きる気配がない。


「やっぱり、見知った人がそばにいると安心するんですね」

「子供みたいね、ラナ」

「アホくさ〜寝苦しいじゃない。合理的じゃないわ」

「そっか、リタは研究ばっかのさみしい人生だもんね」

「うっさい!」

「にしても、そろそろ起こさなくていいの?」

レイヴンの言葉に、ユーリは困ったように笑う。

「寝起き悪いんだわ……」

「あら、意外ね」

ジュディスはクスリと笑う。





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