カミュ春サンプル | ナノ




「春歌、愛している」
「せん、ぱ……」
 耳元で愛の言葉を囁かれ耳朶を甘噛されれば春歌の小さな身体がふるりと震える。汗ばんだ肌同士が触れ合うだけで更に熱を生み敏感な箇所を指で這わせられると既に春歌の中に収まっているカミュ自身を締め付けてしまう。急な締め付けに驚いたのか整えられた顔が歪んだ表情を見せる。春歌はカミュのこの表情が好きだった。普段は余裕に満ち溢れ、決して人前で見せない苦痛にも満ちた快楽を得ている姿は恋人である自分だけしか見れないかと思うと、彼を自分だけが独占している気分になり自然と口角が上がってしまう。春歌の表情を見たのかカミュも優しく微笑んだかと思えば春歌に深いキスを繰り返す。粘膜同士が触れ合い、ぴちゃぴちゃと水音が部屋中に響き渡る。
「春歌……んっ」
「せんぱっ……、すき、です」
「……ふっ、さて……どうしてほしい?」
 口端を上げ美しいアリスブルーの瞳で貫かれるように見つめられ、春歌は頬を朱に染めた。
今日の彼は意地悪をしたい気分らしい。普段は優しく春歌が瞳で訴えかければ意図を汲み取り快楽の淵へと連れて行ってくれるが、時折春歌からの言葉を欲し明確な言葉を紡ぐまで先へとは進んでくれない。
中に収まっている塊はびくびくと別の生き物の様に蠢いているのに目の前のカミュは微塵も感じさせない表情で春歌を見つめるだけだ。
「や……クリスザード、分かって……」
「申し訳ございません。この愚かなカミュめは春歌様からお言葉を頂かないと分からないのです。どうかその鈴を転がすようなお声で私に命じて下さい」
 カミュに手を伸ばし本当の名を呼んで懇願するが、伸ばされた手を優しく包み甲に口づけをされる。唇を滑らせ指先に軽く口づけをしたかと思えば、ぱくりと口に咥え歯を立てずにちゅうと吸い込み指間まで舌を這わせられた。酷く扇情的に映る行為に肌が粟立ちカミュ自身をきゅっと締め付けてしまうが、先程のように歪んだ表情も見せず春歌の言葉を待つ。指先に緩く歯を立てられ身体が震えた。
「う、ごいてっ……あなた、でいっぱいにしてぇ……」
「春歌様の仰せのままに」
 望んだ言葉が返って来たのか再び春歌の手の甲に唇を寄せたかと思えば、優しい手は春歌の膝裏に添えられ足を開かせられる。更に奥まで貫かれ、彼で一杯にさせられるのかと思うと思わず腰が浮いてしまう。これから襲ってくる快楽を想像し、春歌はぎゅっと深く目を瞑った。


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