拝啓、生まれてくる君へ(音春) | ナノ


拝啓、生まれてくる君へ


少し恥ずかしいけれど、君が生まれてくるまでの話を少しするね。

俺はシャイニング事務所に所属しているアイドル。
本当はアイドルは恋愛禁止なんだけど、君のママと出会って、俺はママを好きになった。
ずっと一生守っていくと、子供ながらに思ったんだ。

それから学園も卒業して、デビューも出来て、仕事も順調だった時に、君がママのお腹にいるって事を知ったんだ。
俺はスゴク嬉しかったけど、同じ位不安だったんだ。
あのね、俺には父さん…君のお祖父ちゃんがいないんだ。
だから父親って言われても、どういうものか分からないし、生まれてくる君にどういう風に接すれば良いか分からなくて、俺は不安だらけだったんだ。

俺の友達にもたくさん聞いたんだ。 父親になるってどういう事かって。
だけど皆「分からない」とか「なるようになる」って言って、俺の求める答えは出なかったんだ。
だけど君はどんどんママのお腹の中で大きくなっていって、俺の不安もどんどん大きくなっていったんだ。

だけどある日、君のママが不安そうな俺に言ってくれたんだ。

「私もどういう風にお母さんになっていいか分からないです。 私もすごい不安です。 だけどそんな不安がっていたら、生まれてくるこの子はもっと不安になっちゃいます。 だから不安がらずに一緒にこの子のパパとママになっていきましょう。 どんな時でも一緒に二人で歩いていきたいんです」

そう言ってくれた君のママに俺は救われたんだ。
だけどね、君のママに「3人でね」と言うと、ママは優しく笑ってくれたんだ。
君のママのお腹に触れると、君が嬉しそうに動いているのが分かったよ。

君が生まれるまで、あと数日。
俺は君に本当に感謝しているんだ。
俺と君のママをこんなに幸せにしてくれて。
だから生まれてきたら、君にもっとたくさんの愛情をあげるね。
未熟な君のパパと君のママだけど、君が生まれてきて家族3人で幸せに暮らせるのを楽しみにしているよ。






















「…っていう手紙をパパの部屋から見つけたー」
「こら。 勝手にパパの部屋に入っちゃダメだろ」

あれから数年、大きくなって小さな足で歩きまわる君。
俺が捕まえて頭を撫でくり回すと、笑い声が聞こえてくる。
ねぇ、君は今幸せ?
君が生まれてから、俺は不幸なんて感じた事はないよ。
血の繋がりを持った家族が出来て、本当に幸せだよ。

「パパー」
「ん?」
「大好き!!」

笑いながら、愛を伝えてくれる君。
君が好きだよ。
君のママも俺も世界で1番大切な宝物を見つけたんだよ。
だから君も俺と君のママの様に、大切な宝物を見つけてね。
そして、いつか生まれる君の子供にたくさん愛を伝えてね。
そうして愛は繋がっていくから。
















―拝啓、生まれてきた君へ
毎日たくさんの愛を俺たちに与えてくれて本当にありがとう。
愛しているよ。

君のパパ、一十木音也より













急に思い浮かんだ音也パパ話。
本当は長い話になる予定だったのですが、せっかくなので手紙風にしてみました。
一応生まれて来た子供は男の子のつもりです。
音也は子供とキャッチボールとかするのが夢だと思う。



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