跪いて足をお嘗め | ナノ



サンプル

(遅い!)
 壁に掛けられたアンティーク時計の短針はもうすぐ十二を跨ごうとしている。秒針だけがカチカチと鳴り響く部屋には恋人の帰宅を待つカミュと既に寝床に付いているアレキサンダーしかいない。本日春歌は自身がBGMを担当したドラマの打ち上げに参加する為、遅くなると予め聞いてはいた。カミュとしては内心行かせたくはなかったのだが、打ち上げも一つの仕事であり次回の仕事に繋げるチャンスの場でもあるから強く引き留める事はせず、複雑ではあるが春歌を送り出した。だが今回はドラマの出演者に同僚の嶺二がおり、いささか心配ではある人物だが物事の分別をわきまえる男だ。変な男に絡まれたりしてもさり気なく止めるはずであり念の為カミュからも釘は指しておいた。春歌へも日付が変わる前に帰宅する様に伝え、こくりと縦に頷いたのをカミュは確認をしたし返事も貰っている。だが春歌が帰宅する気配は一向にない。外に人はおろか獣すら来る気配はなくカミュの苛立ちは募るばかりだ。携帯電話を何度確認しても着信もメールも来ておらず、カミュの低い沸点は早くも限界に達した。
(もう我慢出来ん)
 いつでも春歌を迎えにいける準備はしており椅子に掛けてあったコートを手に取り足早に玄関へ向かう。扉に手を掛けた時、持っていた携帯電話が震えた。すぐさま画面に目を映せば「寿」と書かれた文字が映り、電話の相手が恋人ではない事に少々不安を覚えつつカミュは電話に応答した。
「何だ、寿」
「ミューちゃん! よかった〜、起きててくれて。もう本当にぼくどうしようかと」
「イイから用件をさっさと話せ!」
「うーわー、怖―い。ま、しょうがないっか…すぐ来て。場所は後輩ちゃんから聞いてると思うけど、いつもの場所だから。じゃあねー」
 カミュに言われた通り用件のみを言って嶺二からの電話は途切れた。急かす声と背後から聞こえたざわめきは打ち上げで盛り上がっている性もあるのだろうが別のざわめきも感じていた。


〜中略〜



次に発せられた言葉にカミュの表情は険しくなる一方だ。今春歌は何と言った? 自分に跪いてください? 春歌の言葉を反芻させればするほどカミュの脳内はオーバーヒートしそうだ。歌謡祭優勝後に跪いた時、春歌は止めて下さいと言った。少しでもお嬢様らしく扱えば変な感じがすると言っていた春歌が顔色一つ変えずに跪いてくださいと言った事に酔っ払いの戯言だと思っていても動揺は隠せない。
「早く、クリスザード」
「……春歌様の仰せのままに」
 本当の名を呼ばれればカミュは逆らえない。呼ばれなくても春歌が命じれば幾らでも跪づくし何でも言う事を聞くのだが。ベッドに座る主君の前で仰々しく跪づけば、頭上から春歌がふふっ、と笑う声が聞こえた。その声はアレキサンダーとの散歩で美しい花を見つけた時や、作曲中に良いフレーズが浮かんだ時と同じ無邪気な声だ。その可愛らしい顔を見てみたいとカミュがゆっくりと顔を上げればカミュの顎に春歌の足が入り込む。変わらない笑顔は普段の春歌なのだが行動の意図が読めない。顎に入れた足をカミュの口元へ当てるか当てない位のギリギリの所で止めた。
「舐めて」



〜中略〜
(R18部分)

「っ、やめ」
 最後の言葉を発する前にカミュは唇を噛みしめて言葉を飲み込む。今の彼女は女王様なのだ。(決してカミュの敬愛する女王陛下と同じ意味ではない)少しでも逆らえばどんな事をするか分からず、これ以上己を攻め立てる行為をされればカミュ自身どうなってしまうか分からない。今はただ春歌の行動を享受し、逆らわない方が自身の為にもなる。だがカミュが何も言わない事に気持ち良いと言う肯定だと受け取ったのか、もう片方の胸を愛撫する。乳輪をなぞり乳首をかりかりと引っ掻けば、春歌の乳首と同じで勃起し始め、横目で見ていた春歌は思わず唇を離し感嘆の声を上げていた。
「男の人でも、こうなるんですね」
「ただの、生理現象だろ…っ」
 決して春歌に逆らわず聞かれた事に答えるだけ。だがカミュの答えに不満だったのか頬をぷくりと膨らませる。しかしこれ以上胸を弄っていても子が出来た母親ではないのだから母乳が出るはずもない。仕置きが出来ないと判断したのか、手と頭が下がっていきカミュの腹へと到達し、薄く割れた腹筋に指をつうと滑らせればカミュの腹がぴくりと反応する。割れ目の筋に沿って動かせば時折声が漏れ始めるが、その声は快楽を覚えている訳ではなく、触れられた場所がくすぐったいだけであり腹筋に力がきゅっと入ったので理解出来た。くすぐりと言う拷問がこの世にある以上、カミュにとっては仕置きになるかもしれないが春歌はつまらない。気まぐれに眼前に映った臍にぺろりと舌を這わせた。
「っ!」




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