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「えー、ブン太なにそれ」
「これか?俺んだっていう目印だよ」
「お菓子に目印ってあんた」

ブン太の机の上に置かれたキャラメル味のお菓子の袋に、袋より大きい貼り紙が貼ってあった。下手くそな文字で丸井ブン太の、と書かれたその貼り紙は模試のお知らせの紙だった。しかも今日配られたばかりの。

「まじだねブン太」
「何がだよ」
「正真正銘のデブン太だね」
「はあ?喧嘩売ってんのお前」
「別に。あ、次移動教室だよ」

こんなやつほっといて先に行こうそうしよう。教科書を準備して颯爽と立ち去る。……ところに、待てよと肩を掴まれ振り向くと口にお菓子を突っ込まれた。キャラメル味だ。

「はにふんの」
「ぶっ、いいから早く行けよ」
「はあ?」

わけがわからない。ただブン太がお菓子をくれるなんて珍しい。槍でも降るのか。それでも乱暴に口に突っ込まれたことにはイラッと来たので頭をはたいて教室を出た。

それにしてもなんだろう、今日はやけに視線を感じる。というか二度見されたり指をさされていたり、注目の的になっている。思い当たる節もなく首を傾げると後ろから歩いてきた仁王が横に並んだ。これまた珍しいこともあるもんだと思っていると彼は、

「お前さん、肩になんかついとるぞ」

と言って、丸井ブン太の、と書かれた見覚えのある貼り紙を顔の前にひらひらさせた。

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