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あたたかいと思う。なまえに触れている時、話している時、笑いかけてくれる時、目が合った時。なまえの体温を感じ純粋にあたたかいと思うだけでなく、心があたたかくなる。王者立海、鬼の副部長と呼ばれる俺には心の底から似合わない表現だと自分でも理解している。赤也や丸井、仁王等がこれを知れば腹を抱えて笑い出すだろう。蓮二に聞かずとも、確率は百だ。

自分でも滑稽だと思う。テニスに打ち込み、色恋沙汰には疎かった。恋愛などたるんどる、と部員に言い続けてきたのだ。それが一転してどうだろう。なまえが俺のことを好きだという噂に過ぎない戯れ言を聞いただけで意識するようになってしまった。

今、彼女が、どこで、誰と、何をしているのか。

気にせずにはいられなくなった。俺は気づいていなかっただけで彼女に恋心を抱いていたのだと気づいた。なまえが男と話していれば、教師であっても嫉妬するほどに醜い自分がいた。なまえが好きなのは、俺だ。噂を信じ込んでしまうほどに、俺は自分の気持ちを抑えられなくなっていた。

「焦ってるね、真田」

何もかも見通しているかのように幸村は笑った。

「そんなに苦しいなら、彼女に気持ちを伝えたら良いんじゃないかな。悩んでるなんてお前らしくないよ」

なるほど、それもそうだ。俺は不思議と幸村の言葉はなんでも受け入れてしまうらしい。

素晴らしい快晴の日、蓮二に全てをセッティングしてもらった。誰もいない放課後の教室。好きだ、と告げると彼女はいつも通りの愛らしい笑みを浮かべた。

「へえ、そうなんだ」

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