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テニス。テニステニステニステニステニステニステニステニス。
俺にはテニスしか見えてなかった。付き合おう、そう言われて浮かれて交際を始めた中学一年の夏。なんたってその頃の俺にはテニスはまだ部活の一環。部活の枠を飛び越えて日常に必要なものになるなんて思っても見なかった。それから秋、冬、春、夏。一年が巡って大切なものは彼女からテニスへ。バレンタイン、夏祭り、クリスマス、優先順位はテニスの練習。それでも頬を膨らませながらなまえはついてきてくれた。大会にだって弁当を持って応援に来てくれた、健気な彼女。
しかし三年生になって全国を意識すると彼女なんて目に入らなくなった。テニスが彼女、なんて丸井と冗談言って笑いあって。馬鹿野郎お前には彼女がいるじゃねぇか。その柱の後ろに練習終わりのお前のためにタオル持って待っててくれたなまえがいるんだよ。ホント馬鹿な奴。
いよいよ愛想をつかされてもいいような三年の秋。テニスにかける情熱も落ち着いてようやく思い出した可愛い彼女の存在。どんなときもそばにいて微笑んでくれた。自分はテニスの次でも良いと言ってくれた。今こそなまえをとびっきり大切にしようか、なんて都合のいい俺に可愛い彼女は綺麗に笑ってこう言った。
「世の中そんなに甘くねーよ、テニスと結婚でもしてろハゲ野郎が」
はい。全く以って滑稽な人生でした。

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