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「弦一郎、なにも今すぐどうなるという話ではないのだから、そんなに悩まなくても良いのではないか?」
「む。いかんぞ蓮二、こういった大事なことは早いうちから決めておかねばならん」
「それにしても早すぎると思うけどなぁ、俺も」
「幸村まで……いや、これは俺の問題だ。二人とも、相談に乗ってもらったことには感謝するがやはり今一度、一人で考え直す必要があるらしい」

そうか、と柳が言う。これ以上話に付き合うのが面倒だという柳の心の声が、同じソファに腰掛ける俺には伝わってきた。残念ながら恋は盲目状態の真田には分からないみたいだけど。

真田がみょうじに恋した、挙げ句の果てに付き合いだしたなんて聞いた時はそれはそれは驚いたし応援してやろうとも思った。けど、なにかあるごとに柳や俺に相談する割には最終的に俺達の意見を総スルーしていく真田に、感情は怒りを華麗にスキップで跳び越し呆れをかわし無の境地にたどり着いていた。今では反対側に座る真田の考えていることが手にとるように分かる。大方、「二人とは意見が合わない。どうしたものか……」とか考えているに違いない。「いや、しかし」と真田が口を開いた。「……参考として二人に聞いておきたいことがある」

へえ、あれだけ悩んで悩み倒していてまだ悩むことがあるのかと関心する勢いだ。これでくだらないことだったら柳と結託して帰り道に側溝に突き落としてやろう。

「理想の家庭とはどんなものだろうか?」

何故か笑いが込み上げて笑うしか無かった。柳も笑った。


―――

「……やあ、みょうじ。おはよう」
「おはよう、幸村くん。眠そうだね」
「まあね。真田の相手も大変だよ」
「……真田くんの?」
「急に色気づいて、たるんでるよね」
「えっと……?」
「とりあえずみょうじは、結婚が出来る年齢になるまでまだ三年もあること、真田に教えておいてね」
「け、けけ結婚!?」
「(……ああ、プロポーズはまだだったのか。)」

お前からの電話に潰された睡眠時間返せよ真田。

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