SHORT | ナノ

「チョッパー、おれ最近変なんだよ」
「え!?なななんだ、病気か?」
「そうかもしんねぇ」
「えぇ!!どーしよー!?誰か!医者ー!!」
「いやチョッパー、お前が医者だろ」

はッ!そうか。この船に医者はおれだけ!ということはルフィを救えるのもおれだけ……おれが落ち着かなきゃ……と、ひとまず深呼吸をしてからルフィを診る。顔色は悪くないし、熱もなさそうだ。心拍数も安定してる。……身体的には至って健康みたいだ。

「どこか痛むのか?」
「んー……あー」

ルフィが言葉を濁した。なんていうか、珍しい。頭を使うような時じゃないと考え込まないルフィが、時間をかけて言葉を紡いだ。もしかしたら、おれの知らない複雑な病気かも……対処出来なかったらどうしよう。

「なまえをな」
「なまえ?」

思いがけず飛び出した仲間の名前に驚いて聞き返すと、ルフィが難しそうな顔をした。

「なまえを見てっとさぁ、なんかこう……よくわかんねぇんだけど胸の当たりがむずむずするんだよ。病気かなぁ?チョッパー」
「え、ルフィ、それって」
「なんかよぉ、サンジがなまえに話しかけてたりするとやたらイライラするんだよ。ナミやロビンと同じように接してるんだけどなぁ……なんでだ?」

それって病気じゃないよ、ルフィ。……そっか、普段は肉と冒険しか興味がないような、凄く強くて頼りになるおれらの船長も普通の十七歳の少年だったんだ。超人的な能力のせいで隠れてしまっていたけど、確かにルフィも同じ年頃の少年と変わらないんだ。

「ルフィ、おれ……病名が分かったよ」
「本当か!?やっぱり病気なのかおれ!?」

でも、自分では気づいてない。おれにも正直よく分からないし、まだ経験したことがない。だから少しだけ先を越された気分だったけど羨ましくもあった。ルフィに教えてやったら、驚くかなぁ?それとも、冒険の時みたいに目を輝かせるかなぁ?

「ルフィ、その病気の名前はな……」



おれもいつか、そんな風に思えるときが来るのかな。

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